日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊平屋」の意味・わかりやすい解説
伊平屋(村)
いへや
沖縄県島尻郡(しまじりぐん)にある村。沖縄本島の北方、伊平屋島と野甫島(のほじま)の2島からなる。1939年(昭和14)伊是名村(いぜなそん)を分村した。分村するまでは、伊平屋を後地(くしじー)、伊是名を前地(めーじー)と呼称した。方音イヒヤ。伊平屋島は古生層からなる山地状の島で、今帰仁(なきじん)村運天(うんてん)港との間に村営フェリーが運航している。南の野甫島とは、1979年(昭和54)に架橋され(野甫大橋)陸続きになった。80%を山地が占め、わずかな耕地で、第二次世界大戦前からサトウキビや水稲を栽培している純農村。近年、畜産とモズク養殖が盛んになってきた。野甫島は琉球(りゅうきゅう)石灰岩からなる低平な島で、以前は、那覇(なは)への薪の搬出地であった。第一尚(しょう)氏王統の祖、屋蔵大主(やぐらうふぬし)の生地でもあり、大主を祀(まつ)った屋蔵墓があり、そのほか天の岩戸伝説のあるクマヤ洞窟(がま)、国天然記念物の念頭平松(ねんとうひらまつ)、歴史民俗資料館などがある。面積21.82平方キロメートル、人口1126(2020)。
[堂前亮平]
『『伊平屋村史』(1981・伊平屋村)』