偽疑経

山川 世界史小辞典 改訂新版 「偽疑経」の解説

偽疑経(ぎぎきょう)

インドで作成された真経・正経以外の,他の地で作成された疑いがあり,仏説としての由緒伝来に疑問がある仏教経典。中国の仏典目録(経録(きょうろく))作成者は,漢訳経典から偽経疑経摘出排除に努めた。道安(どうあん)の『綜理衆経(そうりじゅぎょう)目録』にすでに疑経録がある。唐代においては偽疑経の数は膨大になる。偽疑経と判定された経論の多くは『大蔵経』(だいぞうきょう)から除外されて散逸したが,民間で信奉され残ったものも少なくない。チベットでは『死者の書』などの埋蔵経(テルマ)がその例に含まれる。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android