国指定史跡ガイド 「備前陶器窯跡」の解説
びぜんとうきかまあと【備前陶器窯跡】
岡山県備前市伊部にある窯跡。指定名称は「備前陶器窯跡 伊部南大窯跡(いんべみなみおおがまあと) 伊部西大窯跡(いんべにしおおがまあと) 伊部北大窯跡(いんべきたおおがまあと)」。伊部南大窯跡はJR伊部駅の南に面する榧原(かやはら)山麓に位置し、東側窯跡・中央窯跡・西側窯跡の3基からなる。室町時代末期から江戸時代にかけて備前焼が焼かれていた窯跡で、いずれも登り窯、半地下式の構造である。1959年（昭和34）に国の史跡に指定された。発掘調査で、このうち東側窯は全長53.8m、最大幅5.2m、中に仕切りのない窯としては国内最大級であることが判明した。また中央窯の土柱は2重の土管を粘土で覆ってつくられている。窯跡の付近には陶片・窯道具残片が数多く堆積していた。伊部駅の北側、医王山麓に伊部西大窯跡、不老山麓に伊部北大窯跡がある。2009年（平成21）、伊部南大窯跡に、伊部西大窯跡と伊部北大窯跡が追加指定され、「備前陶器窯跡」と名称変更された。周辺には窯元も多く、また岡山県備前陶芸美術館などがある。伊部南大窯跡へは、JR赤穂線伊部駅から徒歩約5分。