先天性プロテインC欠乏症

内科学 第10版 の解説

先天性プロテインC(PC)欠乏症(先天性血栓傾向)

(1)先天性プロテインC(PC)欠乏症
 PC遺伝子変異による先天性PC欠乏症は蛋白量(抗原量)と活性値がともに低下するⅠ型(欠乏症)と活性値のみ低下するⅡ型(機能異常症)に大別される.対をなす染色体上の1つだけ異常な患者(ヘテロ接合体患者)の遺伝形式は常染色体優性で,出現頻度は500人に1人と推定される.先天性であるがほとんどの患者は15歳以降に四肢の深部静脈,肺,腸間膜静脈などの血栓症で発症し,血栓症のリスクは健常人より10倍程度高い.一方,2つとも異常な患者(ホモ接合体患者あるいは複合ヘテロ接合体患者)では,新生児期に四肢末端,大腿~下腿,臀部陰囊などの紫斑や出血壊死,多発性微小血栓による多臓器不全をきたす電撃性紫斑病で発症することが多い.急性期の治療には活性型PC濃縮製剤が,血栓症の発症予防にはワルファリンが用いられる.なお,PCの活性化に必要なトロンボモジュリンの先天性異常による血栓傾向がわが国において世界ではじめて発見された.[白幡 聡]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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