生命維持に必要不可欠な臓器および系のうち、複数(二つ以上)が同時にあるいは次々に機能不全に陥った致命的な病態。略称MOF。多臓器機能不全症候群(MODS:multiple organ dysfunction syndrome)ともよばれる。外傷や熱傷のほか重症なショック、あるいは多様な重篤病変などが原因となる敗血症などの重症感染症を引き起こし、臓器の虚血から機能低下をきたすことが多い。肝臓や腎臓のほか、心臓(循環器系)、肺(呼吸器系)、消化器系、血液系、中枢神経(神経系)、免疫系など全身の複数の臓器や系が機能障害となり、多くは集中治療を要する。障害臓器の多くが重篤な機能不全を起こしてしまった場合には、救命医療の及ばないことも多い。
症状は、呼吸器系に肺水腫(しゅ)などが早期からみられ、肝臓では肝不全や重篤になると傾眠から昏睡(こんすい)に至る肝性昏睡、消化器系では腸閉塞(へいそく)や消化管出血、ほかに貧血や不整脈および中枢神経障害を伴うこともある。治療は感染症や原因疾患の治療が第一で、ほかに血液浄化法や対症療法を併用する。
[編集部 2016年8月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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