多臓器不全(読み)たぞうきふぜん(英語表記)multiple organ failure; MOF

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

多臓器不全
たぞうきふぜん
multiple organ failure; MOF

臓器障害。肝臓腎臓,肺など生命の維持に欠かすことのできない重要な臓器が,同時あるいは連続的に機能不全に陥った状態。アメリカで提唱された概念で,MOFと呼ばれる。起りやすい疾患としては,重症の外傷,広範囲のやけど,敗血症大量出血,感染症の悪化などがある。手術後の患者にも起ることがある。 MOFになると,人工透析が必要な腎臓障害,レスピレーターによる呼吸管理が必要な呼吸器障害,肝不全,DIC (血管内凝固症候群) などが次々に発生し,患者はきわめて重篤な状態に陥る。対策はまず発生の予防であり,十分な全身管理が重要である。

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デジタル大辞泉の解説

たぞうき‐ふぜん〔タザウキ‐〕【多臓器不全】

生命の維持に必要な複数の臓器の機能が連鎖的に低下した状態。腎臓呼吸器肝臓血液系・心血管系(循環器系)・消化器神経系のうち二つ以上が同時または連続して機能不全に陥った、致命的状態をいう。重度外傷熱傷感染症ショックなどで起こる。

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大辞林 第三版の解説

たぞうきふぜん【多臓器不全】

ショック・重篤な感染症などに伴い、心臓・肺・肝臓・消化器系などの主要臓器が、連続的に機能不全になった病態。多臓器障害。 MOF 。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

多臓器不全
たぞうきふぜん
multiple organ failure

生命維持に必要不可欠な臓器および系のうち、複数(二つ以上)が同時にあるいは次々に機能不全に陥った致命的な病態。略称MOF。多臓器機能不全症候群(MODS:multiple organ dysfunction syndrome)ともよばれる。外傷や熱傷のほか重症なショック、あるいは多様な重篤病変などが原因となる敗血症などの重症感染症を引き起こし、臓器の虚血から機能低下をきたすことが多い。肝臓や腎臓のほか、心臓(循環器系)、肺(呼吸器系)、消化器系、血液系、中枢神経(神経系)、免疫系など全身の複数の臓器や系が機能障害となり、多くは集中治療を要する。障害臓器の多くが重篤な機能不全を起こしてしまった場合には、救命医療の及ばないことも多い。
 症状は、呼吸器系に肺水腫(しゅ)などが早期からみられ、肝臓では肝不全や重篤になると傾眠から昏睡(こんすい)に至る肝性昏睡、消化器系では腸閉塞(へいそく)や消化管出血、ほかに貧血や不整脈および中枢神経障害を伴うこともある。治療は感染症や原因疾患の治療が第一で、ほかに血液浄化法や対症療法を併用する。[編集部]

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