家庭医学館 「先天性胆道拡張症」の解説
せんてんせいたんどうかくちょうしょう【先天性胆道拡張症 Congenital Biliary Dilatation】
胆道の一部が生まれつき円柱や袋(ふくろ)のように拡張している病気です。略称をCBDといいます。
通常、強力なたんぱく融解酵素(ゆうかいこうそ)が出てくる膵管(すいかん)と胆汁(たんじゅう)の流れてくる胆道は、十二指腸(じゅうにしちょう)に入る直前まで分離していますが、この病気では膵管と胆管が手前で合流しているため(合流異常)、膵液(すいえき)と胆汁が混合して、胆道や膵臓に逆流するため、膵炎(すいえん)や胆石(たんせき)、胆管がん・胆嚢(たんのう)がんが発生する危険が高くなります。東洋人で女性に多い病気です。
[症状]
腹痛、黄疸(おうだん)、発熱や腹部腫瘤(ふくぶしゅりゅう)で発見されることが多いのですが、合流異常が注目されるようになって、腹痛だけや無症状で、CTや腹部超音波検査の際に偶然、発見されるケースが増えています。
[治療]
合流異常をもった総胆管(そうたんかん)を残すと、後から胆管がんが発生する危険が高いので、肝外胆管(かんがいたんかん)を切除する手術が行なわれます。
手術には、肝門部と空腸(くうちょう)をつなぐ肝管空腸吻合術(かんかんくうちょうふんごうじゅつ)、肝門部と十二指腸とをつなぐ肝管十二指腸吻合術などがあります。