日本大百科全書(ニッポニカ) 「全身癌」の意味・わかりやすい解説
全身癌
ぜんしんがん
癌が体のあちこちに転移した状態をさす表現。病名ではない。癌はその発生形態によって区別され、体内のある臓器に限局して最初に発生する癌は原発癌(原発性腫瘍(しゅよう))、ほかの部位へ遠隔的に転移したものは転移癌(転移性腫瘍)とよばれる。また原発癌が発生した病巣を原発巣とよび、転移して増殖した病巣を転移巣とよぶ。転移癌は転移する経路によって血行性転移やリンパ行性転移などに分けられ、ほかに気道や尿路など体内腔(たいないくう)を経由する管内性転移などもある。これとは別に同時に数か所あるいは同一臓器に複数の原発癌がみつかる場合があり、これは臨床的には多発性原発性腫瘍(多発性原発癌)、あるいは多重原発腫瘍(多重癌)とよばれる。
[編集部]
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