空気が鼻から入って肺に達するまでの道。気道を上下の2部にわける場合は,上気道は鼻腔と咽頭上部とであり,空気は口からも一部入るが,口腔は普通には気道に数えられない。咽頭において,空気の通る道と口から入った食物や液体の通る道とが交差する。そのとき交通の混乱が起きないように,延髄からの反射によって,口蓋帆,舌,咽頭壁や喉頭の諸筋肉が働いている。下気道は喉頭,気管,気管支である。その中で喉頭は同時に発声器を兼ねるので,複雑な形状を呈している。咽頭から喉頭への入口の前壁をなして喉頭蓋があって,これが飲食物を気管のほうに入れないようにだいじな作用をしている。喉頭の内部に左右1対の声帯が両側から正中線に向かって突出している。これが発声器として最も重要なものである。気管および気管支では壁に軟骨が並んでいて,それによって囲まれた内部の腔所はいつも広く開いている。
執筆者:小川 鼎三
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…その〈肺〉に出入する空気は咽頭から分岐した管で導かれ,その分岐部には喉頭のような特殊な開閉装置がある。この呼吸道の構造は四足動物のそれによく似ているが,この系には軟骨性の要素がないため空気を導くその管は,うきぶくろの場合と同じく〈気道〉(またはうきぶくろ気管)と見なすのが普通である。喉頭はもともと食物や水が呼吸道に入りこむのを防ぐ装置として現れたもので,そこにある特殊な軟骨性骨格は内臓弓(えらの骨格)に由来する。…
…肺と外界とを結ぶ空気の通り路を気道というが,その主要部分で,気管分岐部から終末細気管支までをいう。人間では,気管は第4胸椎の高さで左右に枝分れする(気管分岐部)。…
※「気道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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