冀察政権(読み)きさつせいけん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「冀察政権」の意味・わかりやすい解説

冀察政権
きさつせいけん

日中戦争前、中国華北にあった日中間の緩衝政権。正式名称は冀察政務委員会。冀は河北、察はチャハル別名。日本軍部による華北分離工作圧力に妥協して、国民政府は1935年(昭和10)12月にこの設置を決め、二九軍長宋哲元(そうてつげん)を委員長に任命した。日本はこれを華北分離に利用しようとしたが、抗日救国運動の高揚と国民政府の対日姿勢の強化によって宋の態度も硬化し、日本の思惑は外れた。37年7月の日中戦争の勃発(ぼっぱつ)により解消した。

[石島紀之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android