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華北分離工作 かほくぶんりこうさく

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大辞林 第三版の解説

かほくぶんりこうさく【華北分離工作】

1935年(昭和10)以後、日本が華北五省を中国国民政府から引き離して日本の支配下におこうと企てた工作。関東軍が主体となって推進したが、失敗したまま日中戦争に突入。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

華北分離工作
かほくぶんりこうさく

1933年(昭和8)から1937年の日中戦争勃発(ぼっぱつ)まで、日本軍が中国北部の五省(河北、山東、山西、チャハル、綏遠(すいえん))を国民政府の支配から切り離し、自己の勢力下に置こうとした工作。1931年(昭和6)に始まった満州事変は1933年5月の塘沽(タンクー)(停戦)協定によって一段落したが、東北支配の矛盾は日本に華北侵略の新たな衝動を生み出させることとなった。第一に、東北における抗日ゲリラの活発な活動が、対ソ戦備の障害となると考えた日本軍は、反満抗日運動根絶のため、その策源地とみなした華北への侵略を図ったのである。第二に、東北の資源不足などを原因として「日満経済ブロック計画」の限界が露呈されるなかで、日本は鉄、石炭、綿花などの資源の豊富な華北を取り込んで「日満支経済ブロック」をつくる方向に計画を拡大したのである。
 日本政府と国民政府との間に「日華親善」の気運が高まった1935年に、日本軍は華北分離工作を本格化した。同年6月、日本軍は国民政府に梅津(うめづ)‐何応欽(かおうきん)協定と土肥原(どいはら)‐秦徳純(しんとくじゅん)協定を強要し、河北省とチャハル省から国民党の勢力を駆逐。7月には本格的な華北資源調査が開始され、9月多田駿(ただはやお)支那(しな)駐屯軍司令官は華北の分離構想を公然と表明した。11月3日国民政府がイギリスの支持を得て幣制改革を断行すると、日本軍はその華北への波及の阻止を図る一方、同月冀東(きとう)政権を発足させ、分離工作を進めた(12月には国民政府が緩衝政権として冀察(きさつ)政権をつくった)。日本政府も1936年1月の「北支処理要綱」で華北五省の分治策を決定し、華北分離を国策のレベルに浮上させた。興中公司(コンス)などの資本輸出と、冀東政権を使っての冀東密貿易の拡大は、中国の資本家階級を抗日の陣営に追いやり、日本と英米との対立も増大させたが、日本は4月の支那駐屯軍の増強、8月の華北「分治政治の完成」をうたった「第二次北支処理要綱」の策定など分離工作を推進しようとした。しかしこれに対して中国の抗日救国運動は高揚し、12月の西安(せいあん)事件を経て、事態は抗日民族統一戦線の結成に進展、幣制改革も華北を組み込んで経済面から華北分離工作を挫折(ざせつ)させた。1937年には石原莞爾(いしわらかんじ)参謀本部第一部長や林内閣の佐藤尚武(さとうなおたけ)外相によって分離工作を撤回し、国民政府の対日接近を促進する新政策が図られたが、華北を防共と国防資源獲得の場とする基本的方針は変更されず(「北支指導方策」1937年4月)、7月の盧溝橋(ろこうきょう)事件を契機として日中全面戦争に発展することとなった。[石島紀之]
『秦郁彦著『日中戦争史』(1961・河出書房新社) ▽歴史学研究会編『太平洋戦争史2』(1972・青木書店)』

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