国指定史跡ガイド 「内裏塚古墳」の解説
だいりづかこふん【内裏塚古墳】
千葉県富津(ふっつ)市二間塚にある前方後円墳。房総半島のほぼ中央部、東京湾に流入する小糸川がつくる河口低地に所在する。2002年(平成14)に国の史跡に指定され、2009年(平成21)には周溝の一部が追加指定された。小糸川周辺には5世紀中ごろから7世紀にかけて営まれた内裏塚古墳群があり、前方後円墳11基を含む合計41基で構成されているが、内裏塚古墳はこのなかで最大で、最も古い時期に築造された。墳丘は2段築成で、円筒形・朝顔形埴輪(はにわ)がめぐらされている。墳丘全長約144m、後円部の直径は約80m、前方部幅約78m、水をたたえた楯形の周溝をもち、溝の外形全長は約185m。後円部墳頂下には主軸方向に並ぶ2基の竪穴(たてあな)式石室があり、人骨、直刀、鉄剣、鉄鎌、鉄鏃(てつぞく)、鏡、鳴鏑(なりかぶら)などが出土した。古墳時代中期においてこの地域に有力な政治勢力が台頭してきたことを示すとともに、出土品の内容から大和政権と密接な関わりがあったことを示唆しているといわれている。JR内房線青堀駅から徒歩約10分。