鳴鏑(読み)メイテキ

デジタル大辞泉 「鳴鏑」の意味・読み・例文・類語

めい‐てき【鳴×鏑】

なりかぶら

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精選版 日本国語大辞典 「鳴鏑」の意味・読み・例文・類語

なる‐かぶら【鳴鏑】

  1. 〘 名詞 〙なりかぶら(鳴鏑)
    1. [初出の実例]「日本(やまと)高麗を救ふ軍将等、百済の加巴利浜(かはりのはま)に泊りて火を焼(た)く。灰変(かへ)て孔(あな)に為(な)りて細き響(おと)有り。鳴鏑(ナルカフラ)の如し」(出典日本書紀(720)天智称制前(北野本訓))

なり‐かぶら【鳴鏑】

  1. 〘 名詞 〙 先のほうに鏑をつけ、先端に鏃(やじり)をつけた矢。飛ぶ時に鏑の穴から空気がはいって大きな音響を発する。鏑矢鳴矢。なるかぶら。めいてき。
    1. [初出の実例]「亦鳴鏑(なりかぶら)大野の中に射入れて、其の矢を採ら令めたまふ」(出典:古事記(712)上)

めい‐てき【鳴鏑】

  1. 〘 名詞 〙なりかぶら(鳴鏑)史記匈奴伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「鳴鏑」の意味・わかりやすい解説

鳴鏑 (なりかぶら)

矢の先端につける発音用具。木,鹿角,牛角,青銅などで蕪(かぶら)の形につくり,中空にして周囲に数個の小孔をうがったもの。矢につけて発射すると,気孔から風がはいって鳴る。鳴鏑のみを矢につけて用いることもあるが,鏃の根もとに,その茎(なかご)を貫通してつけることが多い。鳴鏑の矢は,鏃の形も雁又(かりまた)などの幅の広いものを用い,〈上差(うわざし)の矢〉とする。《史記》匈奴伝に,匈奴が鳴鏑を用いることがみえるが,東北アジアでは早くから流行していた。高句麗の輯安舞踊塚には,狩猟に鏑矢を用いている壁画がある。日本にも古墳時代中期以降に朝鮮を経て伝わっていた。千葉県内裏(だいり)塚古墳では,鹿角製で周囲に3孔のあるものが出土している。栃木県の七廻り鏡塚古墳では,木製で先端に1孔,周囲に3孔のあるものが出土している。これは木または竹の篦(の)をつけていて,鏃を用いない例である。法隆寺正倉院にも遺品があって,《東大寺献物帳》に鹿角哮(ろつかくこう),牛角哮とあるのは鳴鏑のことである。《日本書紀》に八目鳴鏑(やつめのかぶら)とあるのは,孔数の多いものであり,末利椰(まりや)とあるのは,先が丸くて鏃を用いない鏑矢であろう。
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