日本歴史地名大系 「函館区史」の解説
函館区史
はこだてくし
一冊 河野常吉編 函館区役所 明治四四年刊
解説 編者は北海道庁・樺太庁嘱託として各種業績を重ねている最中に、皇太子行啓記念事業の一つとして区史編纂の依頼を受けた。河野の北海道史の原型は「札幌沿革史」に始まり、不断の史料探訪と研究活動によって作られていた。道南の一中心函館の歴史編纂は、維新前道史への理解を前提とするので、区史執筆はその後の「北海道史」以下の仕事につながる重要なステップとなった。「札幌区史」とほぼ同時期の編纂であるが、両書には文体等にかなりの差があり、また対象地域が異なっていて、両書があいまって一つの北海道史を叙述している感もある。本書は実証性にすぐれ、地域全体を的確に描写するなど、その後の市町村史の範となった。
構成 第一章地理、第二章石器時代、第三章安東氏時代、第四章松前氏時代、第五章幕府前直轄時代、第六章松前氏復領時代、第七章幕府後直轄時代、第八章箱館裁判所及箱館府時代、第九章開拓使時代、第一〇章函館県時代、第一一章北海道庁時代、付函館区年表。全七九〇頁。昭和四八年復刻。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報