デジタル大辞泉 「最中」の意味・読み・例文・類語
さい‐ちゅう【最中】
1 動作・状態などが、いちばん盛んな状態にあるとき。進行中のとき。まっさかり。さなか。「今が暑い
2 まんなか。
3 いちばん盛りの状態にある人。
「渡辺党の―なり」〈盛衰記・一四〉
[副]しきりに。
「三皿目のシチウを今三人で―食っている」〈虚子・俳諧師〉
[類語]
和菓子の一種。最中の皮を煎餅種(せんべいだね)というように、元来は干菓子であったが、1805年(文化2)に江戸・吉原(よしわら)の竹村伊勢大掾(いせだいじょう)の職人が、煎餅種の半端(はんぱ)ものに使い残しの餡(あん)を入れて売り出したのがあたり、最中は餡を入れるのが普通となって半生(なま)菓子になった。最中の考案された経緯から、これを雑菓子とみて引菓子に用いるのを嫌う向きもあるが、現在は優れた最中が多くつくられている。最中の皮は糯米(もちごめ)の粉を水でこねて蒸し、薄くのしたものを丸く切って焼く。ぱりっとした皮の風味が身上(しんじょう)である。餡は小豆(あずき)の粒餡、こし餡のほか、うぐいす餡、白餡、ゆず餡、ごま餡、黒糖餡、ひき茶餡、栗(くり)餡もある。最中の姿は、『拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)』に「池の面(も)に照る月なみをかぞふれば こよひぞ秋の最中なりける」(源順(したごう))とある陰暦十五夜の満月が天心にかかった形で、円月形が本来だが、いまは形、文様など種々になった。有名な最中には東京の塩瀬の袖(そで)ヶ浦、空也(くうや)最中、喜作(きさく)最中、秋色(しゅうしき)最中、石川県金沢の加賀さま、栃木県足利(あしかが)の古印(こいん)最中、三重県松阪の老伴(おいのとも)、富山県高岡の江出乃月(えでのつき)などがある。
[沢 史生]
和菓子の一種。もち米の粉を水でこねて蒸し,餅について薄くのばし,型抜きして焼いたもなか種(だね)と呼ぶ皮を2枚用いて,その中にあんをはさんだもの。風来山人平賀源内の《根無草後編》(1769)に〈最中の月は竹村に仕出す〉とあるように,江戸新吉原の廓(くるわ)内にあった菓子屋竹村伊勢の創製になるもので,円形であったため十五夜の月になぞらえて,初めは〈最中の月〉と呼んだ。やがて〈最中〉とのみ通称されるようになったが,当初のものの実態は必ずしも明らかでなく,あんころ餅だとする説もある。しかし,《菓子話船橋(かしわふなばし)》(1841)に〈最中の月のやうなる餅の焼種〉とあるところから,あんころ餅でなかったことは断定しうるが,あるいは種に砂糖液を塗っただけで,あんなしのものであった可能性もなしとしない。その後〈最中饅頭(まんじゆう)〉という名称があらわれるが,この段階になるとあんを入れていたことは明らかである。このもなかという菓子はたいへん好まれたようで,どこの菓子屋でも作るというまでに普及し,皮の形や色,あるいはあんにさまざまなくふうをこらしたものが作られている。
執筆者:鈴木 晋一
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