切断肢(読み)せつだんし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「切断肢」の意味・わかりやすい解説

切断肢
せつだんし

上肢下肢の一部が、鈍的または鋭的な外力によって、その連続性を断たれた状態をいう。一般的には、皮膚、皮下組織血管、神経、筋肉、腱(けん)、そして骨が同時に、かつ完全に切断された状態をいうが、一部組織において連続性の保たれている状態も「不全切断」としてこれに含まれる。治療法は、断端形成術と切断肢再接着術に大別される。断端形成術とは切断面の治療手技全般をいう。近年、顕微鏡下手術の発展に伴い、手指切断や前腕部切断においては再接着術が施行され、優秀な成績を収めている。しかし、下肢、とくに大腿(だいたい)部、下腿部切断においては、再接着術後の合併症が多く、たとえ活着した場合でも機能的予後が悪いため、断端形成術と義足の装着が好まれる。切断肢患者を医療機関へ搬送する場合には、四肢の駆血(くけつ)(強く縛っての止血)は可能な限り中枢部で施行し、遠位断端(四肢から切断された部位)はビニル袋などに入れ、間接的に氷片で冷却する。再接着可能な時間は保存状態によって異なるが、受傷後6~12時間とされている。

[尾原善和]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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