別足(読み)ベッソク

デジタル大辞泉 「別足」の意味・読み・例文・類語

べっ‐そく【別足】

きじももなどを焼いて足先を紙で包んだ料理大饗たいきょうのときに正客に供した。
「―の食ひやう見習はむとて」〈古事談・二〉

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精選版 日本国語大辞典 「別足」の意味・読み・例文・類語

べっ‐そく【別足】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 料理で、雉(きじ)などの股(もも)。火であぶり、食べやすいように多くの切りめをつけ、足の先を紙に包む。古く大饗(おおあえ)宴席で、高貴な人に供されることが多かった。
    1. [初出の実例]「徳大寺大饗、〈略〉事畢之後、別足之食様見習はむとて、人々群寄見ければ」(出典:古事談(1212‐15頃)二)
  3. 人または馬などの股。
    1. [初出の実例]「うしろのへっそくは、たうのしんとほんとはらりとをとし、ばんのうへに、二めんならべたごとくなり」(出典:説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)七)

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世界大百科事典(旧版)内の別足の言及

【キジ(雉)】より

…賞翫は手厚いもてなし,ごちそうの意である。料理はおもに焼物にし,骨つきのもも肉は別足(べつそく)ともいった。鷹の鳥は食べ方にも決まりがつくられ,《今川大双紙》以下7~8種の故実書,料理書が〈鷹の鳥喰様(くいよう)〉といった記事を載せ,なかにはその際の主客の挨拶のしかたまで書いたものもある。…

【焼鳥】より

…鳥肉を焼いたもの。日本では平安時代から宮廷や武家の公式の宴会などに〈別足(べつそく)〉などと呼ぶキジのもも肉や〈ひったれ〉と呼ぶ胸肉を焼いたものが,重要な品目の一つになっていた。一般ではカモ,キジ,ヤマドリ,ウズラ,シギ,ツグミ,スズメなどが盛んに焼鳥にされていたが,現在では狩猟法によって捕獲を禁止されているものが多い。…

【焼物】より

…日本では古く〈あぶりもの〉といい,〈炙〉の字を用いた。平安時代から宮廷の供宴などに多く見られるのは包焼き(裹焼)(つつみやき),別足(べつそく),ぬかご焼きである。包焼きは,《万葉集》に〈裹める鮒(ふな)〉などと見え,濡らした葉などでフナを包んで焼いたとも考えられるが,室町期の《庖丁聞書》や《四条流庖丁書》には,フナの腹に結び昆布,串柿(くしがき),ケシ,クルミ,焼栗などを入れて焼き,あるいは煮るものとしている。…

※「別足」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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