国指定史跡ガイド 「北江間横穴群」の解説
きたえまよこあなぐん【北江間横穴群】
静岡県伊豆の国市北江間にある横穴群。狩野(かの)川左岸に位置する古墳時代後期~奈良時代の横穴墓群で、10基の横穴からなる西側の大師山支群と、40基以上からなる東側の大北支群からなる。凝灰岩が刳(く)り抜かれた家形石棺や作り付け石棺のほか、石製蔵骨器(石櫃(せきひつ))も横穴に置かれた特色ある横穴群で、土葬から火葬への変遷を示す遺跡である。側面に被葬者と思われる人物を示す文字「若舎人(わかとねり)」が刻まれた1200年前の石櫃は、1978年(昭和53)に大北支群24号から発掘され、1993年(平成5)に国の重要文化財に指定された。舎人とは、当時、豪族に仕えた役人のことである。辺境の伊豆に高い文化水準を垣間見ることができ、旧伊豆長岡町の歴史や伊豆地方の石造技術など伝えていることから、1976年(昭和51)に国の史跡に指定され、1984年(昭和59)に追加指定があった。伊豆箱根鉄道原木(ばらき)駅から徒歩約15分。