日本歴史地名大系 「北海道拓殖史」の解説
北海道拓殖史
ほつかいどうたくしよくし
一冊 高倉新一郎著 柏葉書院 昭和二二年刊
解説 近世以降第二次世界大戦までの北海道・樺太における拓殖の歴史を通観したものである。著者には本書と並行して「アイヌ政策史」(昭和一七年刊)があり、併せて北海道史の主要部分を概観することができる。本書の執筆は太平洋戦争中であり、もと日本拓殖協会の日本植民叢書の一冊として着手された。著者は北海道大学農学部植民学講座の担当者であり、かつ「新撰北海道史」の編集にもたずさわった。その経験が本書に結実している。本書の中心部分第六章「北海道庁の拓殖」では、とくに地図・移民・土地制度・村落・農業など拓殖の主要テーマが網羅されている。本書は著者の北海道史学形成の原点ともいうべき内容であり、一方でその後多くの北海道史・市町村史に影響を与えた。
構成 第一章緒論、第二章拓殖前史、第三章拓殖論の発展、第四章徳川幕府の蝦夷地開拓、第五章開拓使の拓殖、第六章北海道庁の拓殖、第七章樺太の拓殖、第八章結言。本文三二八頁。昭和五四年復刻(論説「北海道の拓殖と戦後開拓」「北海道移住・開拓図」を付す)、平成八年「高倉新一郎著作集」第三巻収録。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報