日本大百科全書(ニッポニカ) 「十五夜踊」の意味・わかりやすい解説
十五夜踊
じゅうごやおどり
旧暦8月15日に踊るのでこの名があるが、例は少ない。鹿児島県南さつま市坊津町泊(ぼうのつちょうとまり)では、数十人の小・中学生の少女(もとは17、18歳の娘)が、鉢巻、振袖(ふりそで)、白足袋(しろたび)、草履(ぞうり)履き姿で、九玉(くたま)神社の境内に二重の輪をつくり、歌、三味線、太鼓につれて『そんが婆さま』『四季踊』『潮来出島(いたこでじま)』などの小歌踊(こうたおどり)を踊る。
また与論島の十五夜踊は、鹿児島県大島郡与論町城(ぐすく)の地主(とこぬし)神社で、小歌踊と狂言(能狂言ではない)が男たちによって交互に演じられる。大和(やまと)踊とも、沖縄風にシニュグ踊ともいうが、狂言専門の13人の一番組と、踊り専門の12人の二番組からなる。踊りには『君様』『十五夜』『思い定めて』など18曲、狂言には『頼朝(よりとも)公』『松尾姫』『長刀(なぎなた)(牛若弁慶)』など13番がある。
[西角井正大]