半母音・半子音(読み)はんぼいんはんしいん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「半母音・半子音」の意味・わかりやすい解説

半母音・半子音
はんぼいんはんしいん

母音に似た響きをもちながらも、声道にやや狭めを伴い、しかも音節を形成しえない持続音を半母音または半子音と称する。たとえば「矢」と「いや(否)」を注意深く発音し分けてみると、前者における「矢」から母音[a]を引いた残部が、後者に比べて独立性に乏しく、不明瞭(ふめいりょう)でかつ持続時間も短いことが確認される。このように日本語(東京)では、ヤ行の初頭部に立つ[j]とワ行の一部のみに半母音が実在する。なお、F・ソシュールの分類ではvoyelleでかつconsonante(共鳴音または他響音)なもの、またラデフォーギドPeter Ladefogedの分類では接近音approximantなどの一部がこれにあたる。

[城生佰太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例