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音声記号 おんせいきごうphonetic sign

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

音声記号
おんせいきごう
phonetic sign

言語音を音声学的に表記するための記号発音記号などともいう。言語音の記述や研究のため,また教育や学習のために用いられる。その記号としての性格から大きく3種類に分けられる。 (1) 単音を主としてローマ字ないしロシア文字で表わすもの。原則として1単音を1字母で表わすので音声字母ともいう。国際音声字母に代表され,最も普通に用いられている。 (2) 単音を従来の文字とは異なる新しい記号で字母的に表わすもの。 A.ベルのビジブルスピーチや,H.スウィートの器官的記号などがある。 (3) 単音を発する際の音声器官の働きを,いくつもの記号を用いて分析的に表わすもの。 O.イェスペルセンの非字母的記号や K.L.パイクの機能的非字母的記号などがある。

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デジタル大辞泉の解説

おんせい‐きごう〔‐キガウ〕【音声記号】

言語音を音声学的に表記するための記号。字母記号と非字母記号とに大別される。発音記号。発音符号表音記号音標文字

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百科事典マイペディアの解説

音声記号【おんせいきごう】

言語音を音声学的に記述するための記号。音標文字とも。原則として一つの音声(単音)に対応して一つの記号を用いる。大別すると,1.主としてローマ字を用いるもの(その代表的なものが国際音声字母),2.独自の記号を考案して用いるもの(たとば米国の発音学者A.M.ベルの創案した記号),3.音声器官の働きを分析的に表したもの,がある。
→関連項目発音記号表記

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世界大百科事典 第2版の解説

おんせいきごう【音声記号】

言語音声を表す記号。発音符号,発音記号,音標文字ともいう。ある調音活動によって発せられる音声の最小単位を単音phoneと呼び,この単音を表すのが音声記号である。この場合二つの方式がある。代表的単音に一つの記号を割り当てる字母的表記と,単音をその調音の要素に分解して表す非字母的表記に大別できる。
[字母的表記]
 字母的表記では国際音声学協会の定めた国際音声字母International Phonetic Alphabet(略してIPA)がもっとも広く用いられている。

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大辞林 第三版の解説

おんせいきごう【音声記号】

言語音を表記するための記号。アルファベットに基づいた字母記号とそれ以外の非字母記号とがある。発音記号。発音符号。表音記号。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

音声記号
おんせいきごう
phonetic signphonetic symbol

言語音は時々刻々と変化する動的現象である。したがって、これを保存するためには、記号を用いて記述しなければならない。しかし、たとえばイギリスの文学者バーナード・ショーが、rough, women, stationの各下線部だけをつなぎ合わせれば、英語のfishを“ghoti”と綴(つづ)ることができると冗談を飛ばしているように、日常用いられている正書法上の文字は、前後の脈絡によっていろいろな音価を有するのが一般であるため、1音1文字の対応関係が成立しない点で甚だ不便である。そこで、正書法上の文字とは異なる次元で、言語音を音声学的に記述および分析するために用意された記号を音声記号といい、通常これを[ ]内に入れる。
 音声記号にはこれまで数多くの考案がなされてきたが、ほぼ非字母記号と字母記号に大別される。前者にはイェスペルセンO. Jespersenの『Lehrbuch der Phonetik』(1913、1926)やパイクK. L. Pikeの『Phonetics』(1943)などがあるが、1単音を構成すると目される個々の調音要素に記号が対応しているため、たとえば[t]は、イェスペルセンに従うと、α,,βOfγ,,δOε3ζ+となり、一方パイクに従えば、MaIlDeCVveIcAPpaatdt1tnransfsSiFSsのようになって、きわめて煩雑である。このため、1単音の精密な表記には適していても、単音の連続を記述するのには適さない。これに反して後者では、ほぼ1記号が1単音と対応するようにつくられているだけでなく、音の量的変化(長短、高低、強弱など)をも記述できる点で、きわめて実用的である。そのため、古来多くの人人によってローマ字など既存の文字表記に近いものから、ベルAlexander Melville Bellのvisible speech(1867)に代表されるような特殊な記号を用いるものまで、千差万別の記号が生み出されてしまった。
 国際音声字母(IPA)は、このような状態を整理して、あらゆる言語に共通する記述方式の樹立を提案したイェスペルセンのパシーP. Passyあてへの書簡が公表されたのを契機として成立したもので、公式には1888年8月に国際音声学協会の機関誌に発表されたものをもって嚆矢(こうし)とする。この表記法の原点は、1899年以降に登場したエリスA. J. Ellis考案のpalaeotype、およびこれを発展させたスウィートH. Sweetのromicにあるが、いずれもローマ字を中心とした簡素な記号でまにあわせている点に実用的価値がある。このため、以後IPAはもっとも普及した音声記号となっている。
 IPAには、外国語教育、正書法の制定ならびに改訂などの実用的見地から定められた「簡略表記」と、学問的レベルで微妙な差異までも可能な限り多種の補助記号を用いて記述し分ける「精密表記」との区別がある。ただし、過度な精密表記は、かえって言語音の本質を見失うおそれがあり、この省察から音韻論が誕生した。日本では日本音声学会がこの記号の普及に努めたため、外国語教育をはじめ、広く学界に用いられている。ただしロシア語および英語関係の一部ではこれに従わず、正書法をもとにした独自の表記がいまでも盛んに行われている。
 なお、今後の課題としては、(1)単音の認定基準ならびに異なる単音に対する同一記号の充当、(2)従来の調音面偏重主義に徹した分類基準に対する音響的、聴覚的、機能的側面からの是正、(3)調音明瞭(めいりょう)度をはじめとする応用音声学的側面への配慮など、多くの問題が山積している。[城生佰太郎]
『服部四郎著『音声学』(1984・岩波書店) ▽城生佰太郎講・著、金田一春彦監修『音声学』(1982・アポロン音楽工業社) ▽日本音声学会編『音声学大辞典』(1976・三修社)』

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