南山新城碑(読み)なんざんしんじょうひ

改訂新版 世界大百科事典 「南山新城碑」の意味・わかりやすい解説

南山新城碑 (なんざんしんじょうひ)

韓国,慶尚北道慶州市近くの南山の周辺で発見された新羅時代の小石碑群の総称。現在6個が発見されており,すべて国立慶州博物館に保管されている。材質は花コウ岩で,最も大きいもので高さ約121cm,幅47cm,厚さ約10cmである。新羅の真平王13年(591)に南山に石築の山城を新たに構築したが,〈辛亥年二月廿六日南山新城作節〉(辛亥年は591年に当たる)で始まる碑文はこのときのものである。碑文によれば,工事は全国の村落ごとに〈匠尺〉〈文尺〉〈石捉人〉などの技術者や人夫を徴発して進められ,各集団が負担した城壁が3年以内に崩れた場合には,担当集団はその罪をうけることが工事のはじめに誓わされている。各碑文は形式をまったく同じくしており,その性格から今後もさらに同様な碑が発見される可能性はきわめて高い。碑文には,朝鮮古代の漢字借字法である吏読(りとう)が含まれており,純粋な漢文ではない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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