南山(読み)ナンザン

デジタル大辞泉 「南山」の意味・読み・例文・類語

なん‐ざん【南山】


南の方角にある山。
あずち
《「南山の寿」から》長寿を祝うこと。

高野山比叡山ひえいざん北嶺ほくれいとよぶのに対する。→北嶺
中国の終南山異称
中国遼寧りょうねい省金州城の南にある小丘日露戦争激戦地
大韓民国ソウル市の山。南山公園にある。高さ265メートル。ナムサン。

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精選版 日本国語大辞典 「南山」の意味・読み・例文・類語

なん‐ざん【南山】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 南方にある山。特に「陶潜‐飲酒詩」の「採菊東籬下、悠然見南山」より、世俗を離れたすまいから望む山をいう。
      1. [初出の実例]「三間茅屋南山下、不農不商雲霧中」(出典:菅家文草(900頃)三・路遇白頭翁)
    2. ( 「南山の寿」から ) 人の長寿を祝うこと。
    3. 的をかけるために弓場の正面に設ける山形の盛り土。垜(あずち)。〔俚言集覧(1797頃)〕
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 吉野山をいう。また、南朝の意に用いる。
      1. [初出の実例]「天の時未だ臻(いた)らずして、南山に蝉のごとく蛻(ぬ)け」(出典:古事記(712)上)
    2. [ 二 ] 高野山の異称。比叡山を北嶺と呼ぶのに対していう。
      1. [初出の実例]「南山松石、看不厭、南嶽清流、憐不已」(出典:性霊集‐一(835頃)入山興)
    3. [ 三 ] 江戸、芝の三縁山増上寺の異称。
      1. [初出の実例]「南山の和尚雨夜に品さだめ」(出典:雑俳・柳多留‐一〇六(1829))
    4. [ 四 ] 中国の長安(現在の陝西省西安市)の東南にある終南山の異称。
      1. [初出の実例]「南山出処荷衣壊、北闕来時菊酒逢」(出典:菅家文草(900頃)一・九日侍宴、賦山人献茱萸杖)
      2. [その他の文献]〔詩経‐小雅・南山有台〕
    5. [ 五 ] 中国、遼寧省金県西岸の金州湾の南にある小丘。日露戦争の激戦地として知られる。

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日本歴史地名大系 「南山」の解説

南山
みなみやま

藤原町域のうち旧三依みより村六大字(横川・上三依・中三依・芹沢・独鈷沢・五十里)から現福島県南会津みなみあいづ田島たじま町を中心に、同県会津若松あいづわかまつ市にかけての広い地方をさす。中世には陸奥長江ながえ庄の一部で、奥州合戦で源頼朝方に参陣した長沼宗政に与えられたと考えられ、寛喜二年(一二三〇)八月一三日、下野長沼ながぬま庄などとともに「陸奥国南山」が宗政から嫡子時宗へ譲られた(「長沼宗政譲状」皆川文書)。以後室町時代まで同氏の所領として伝えられたと思われる。応永一六年(一四〇九)五月四日、紀州熊野の御師良湛は「奥州・下野国南山」の檀那職を三貫五〇〇文で中院浄忍坊に売渡している(「良湛檀那職売券」潮崎稜威主文書)

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普及版 字通 「南山」の読み・字形・画数・意味

【南山】なんざん

終南山。南山の寿は祝頌の語。〔詩、小雅、天保の恆(ゆみは)るが如く 日の升(のぼ)るが如く 南山の壽の如く 騫(か)けずれず 柏のるが如く 爾(なんぢ)に承(う)くる或(あ)らざる無し

字通「南」の項目を見る

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「南山」の解説

南山
なんざん

14~15世紀に沖縄本島南部に成立した王権。中国の史書山南と記す。起源は伝承に彩られるが,14世紀後半に島尻大里城(おおざとぐすく)(現,沖縄県糸満市)を拠点に島尻一帯を支配。中山に続き,1380年承察度(しょうさっと)が明の冊封をうけ琉球国山南王となり,以後盛んに進貢貿易を展開。他魯毎(たろまい)王のとき中山王尚巴志(しょうはし)に攻められ1429年滅亡。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「南山」の意味・わかりやすい解説

南山
なんざん

終南山

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南山」の意味・わかりやすい解説

南山
なんざん

「チーリエン(祁連)山脈」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の南山の言及

【終南山】より

…また秦嶺全体をいう場合もある。その名は西安すなわち長安の南にあたることに由来し,関中盆地では,渭河以北の北山に対し南山とも称する。標高2000~2900m。…

【秦嶺】より

…中国,陝西省南部を東西によこぎる断層山脈。平均標高2000~3000m,最高峰の太白山(3767m)をはじめ,《詩経》にみえる終南山,玉泉山などの山峰がある。渭河と漢水の分水嶺をなし,北側は急峻な断層崖のため,古来,渭水盆地では〈南山〉と称し〈九州の名阻,天下の険峻〉とよんだ。…

【北漢山】より

…標高836m。ソウル盆地をとり囲んでいる山脈中の主峰であり,屹立する岩肌の山頂が市街地からまのあたりに望まれ,市の南部にある南山(265m)とともにソウルの象徴的存在とされている。白雲台,仁寿峰等岩場での岩登り,四方から山頂へ至るハイキングコース,山麓には祥雲寺,僧加寺等の寺院,プールや遊園地が散在し,ソウル市民のかっこうの行楽地として親しまれている。…

【奈良[県]】より

…県の製造品出荷額の割合は一般機械が23%,電気機器が17%など(1995)である。
[国中,西山中,東山中,奥,南山の5地域]
 奈良県は中央構造線を境に北部と南部に二分されるが,さらに自然条件や歴史,産業,商圏の違いも考えあわせて北部を国中(くんなか)(奈良盆地),西山中(にしさんちゆう)(生駒・金剛山地),東山中(笠置山地),奥(宇陀・竜門山地)に四分し,これに南部の南山(なんざん)(吉野山地)を合わせて5地域とする。(1)国中 奈良盆地のほぼ全域にあたり,面積は県域の約1/10にすぎないが,古代以来大和国随一の平地として中心的な地位を占めてきたため,現在もこの称がある。…

【琉球】より

…按司は〈ぐすく(城)〉と称する城塞を築造して抗争し,12世紀末から13世紀には舜天,英祖などの強大な按司が出現し,14世紀に入ると沖縄本島を中心に〈三山(さんざん)〉と呼ばれる小国家が出現した。北部には今帰仁(なきじん)城を拠点とする〈山北(さんほく)(北山)〉が,中部には浦添(うらそえ)城(のちに首里(しゆり)城)を拠点とする〈中山(ちゆうざん)〉が,南部には島尻大里(しまじりおおざと)城(一時は島添(しまそえ)大里城)を拠点とする〈山南(さんなん)(南山)〉が割拠して互いに覇を競った。 1372年中山王察度(さつと)は中国に誕生した明朝の太祖洪武帝の招諭を受け入れて初めて入貢し,その冊封(さくほう)体制の一員となった。…

※「南山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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