内科学 第10版 の解説
単独自己免疫性副腎機能低下症(副腎ステロイド合成異常症)
定義・概念
自己免疫的機序により,後天的に副腎皮質の委縮をきたす疾患である.なお,自己免疫的あるいは非自己免疫的機序(結核などの感染症,出血など)により後天的な副腎皮質委縮をきたす疾患群をAddison病(表12-6-12)と総称する.
病因
副腎皮質に対する組織特異的自己免疫疾患と考えられている.
臨床症状
成人期に,グルココルチコイド欠乏症状が緩徐に進行する.すなわち,易疲労感,全身倦怠感,脱力感,筋力低下,体重減少,食欲不振,悪心・嘔吐,下痢,精神症状(無気力,不安,うつ)などのさまざまな非特異的症状を訴える.肘や膝などの関節部,爪床,口腔内などに色素沈着を認めることが多い.
検査成績
低ナトリウム血症,高カリウム血症,低血糖,代謝性アシドーシスをきたす.血中ACTHおよびレニン高値にもかかわらず,コルチゾール,アルドステロン,DHEA-S,およびすべての副腎ステロイドホルモン中間代謝産物(図12-6-20)は低値である.しばしば血中抗副腎皮質抗体陽性となる.
診断
成人発症の副腎機能低下症のうち,表12-6-11に示す基礎疾患を除外して診断する.
治療
内科的治療の基本はグルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド投与である.[長谷川奉延]
■文献
税所純敬,横田一郎,他:新生児マススクリーニングで発見された先天性副腎過形成症(21-水酸化酵素欠損症)の診断の手引き(1999年改訂).日児誌,103: 695-697, 1999.
柳瀬敏彦:厚生労働省「副腎ホルモン産生異常に関する調査研究班」の研究概要紹介―疫学研究を中心に―.最新医学,67: 1981-1988, 2012.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報