(読み)し

普及版 字通 「卮」の読み・字形・画数・意味


5画

(異体字)巵
7画

[字音]
[字訓] さかずき

[説文解字]

[字形] 象形
大きな把手のある酒器の形。〔説文〕九上に「圜(ゑんき)なり」とし、卩(せつ)に従って「飮する以なり。人に象りて、卩、其の下に在り」とするが、卩の部分は把手で、いわゆる(はん)、上部は杯の卮の半体の形であろう。賜の初文易が、酒器の口から酒を注ぐ形であるのと、同じ造字法である。〔礼記、内則〕に「卮(しい)」の語があり、は水を注ぐ器の象形。卮は(し)と同じく酒器で、卮は杯、はもと獣角の酒器で、のち青銅を以て作る。卮を卮言の意に用いるのは、(支)と通用の義である。

[訓義]
1. さかずき。
2. 支と通じ、支離、ばらばら。
3. と通じ、臙脂(えんじ)、べに。

[古辞書の訓]
名義抄〕卮 サカツキ・タスク・ヲサム

[部首]
〔説文〕〔玉〕に專(専)(せん)声・(せん)声の字を属し、いずれも小さな卮をいう。〔急就〕にみえる字である。

[語系]
卮・tjieは同声。卮は小器、卮言は支離の言。と声義において通ずるところがある。

[熟語]
・卮言卮子卮酒
[下接語]
羽卮・瓦卮・銜卮・挙卮・玉卮・金卮・瓊卮・持卮・酌卮・酒卮・清卮・接卮・操卮・伝卮・瑶卮・流卮・漏卮

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【酒器】より

…また3足で流と呼ぶ注ぎ口と2本の柱を持つ爵は権力者から賜与される酒器で,のちの爵位につながる(青銅器)。 青銅の祭祀酒器の多くの形式は秦・漢時代には姿を消すが,日用の酒器として卮(し),盃(はい)(杯),觴(しよう),盌(わん)などの杯類や酒を暖める3足の釜である鐺(とう)(鎗(そう))などが一般化する。鴻門の会で樊噲(はんかい)が飲む卮は四升の大盃というが,容量の単位や当時の酒のアルコール度の低さを考えると額面通りではない。…

※「卮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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