原体節(読み)げんたいせつ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「原体節」の意味・わかりやすい解説

原体節
げんたいせつ

脊椎(せきつい)動物の胚(はい)で、中胚葉から生じる分節構造。単に体節ともいう。中胚葉は中軸部分(神経管の直下)では脊索に分化し、その側方部分では頭尾方向に配列された原体節をつくる。最前方の原体節は耳胞の直後に形成され、以下数十個の原体節が逐次生じる。最初は胞状の組織で中心に筋腔(きんこう)とよばれる体腔をもつ。のちに、背内側の筋節、背外側の真皮節、腹内側の硬節に分かれ、それぞれ主として、背部の骨格筋、真皮、間充織(かんじゅうしき)および軟骨組織を形成する。

 原体節の形成は初期発生における発生段階を表す都合のよい指標となっており、また中胚葉の原体節への分節の機構は実験発生学の重要な問題の一つである。

[八杉貞雄]


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世界大百科事典(旧版)内の原体節の言及

【体節】より

…それは各体腔囊が,まず上下2房に分かれてから上房のみが分節構造の形成にあずかるからである。これを体節somiteまたは原体節(古くは誤って原脊椎)と呼んでいる。そしてさらにその一部,房の外側の壁が間葉化して細胞に分散してしまうと,残った部分は骨格筋のもとである筋節となる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」