原子核乳剤(読み)ゲンシカクニュウザイ

化学辞典 第2版 「原子核乳剤」の解説

原子核乳剤
ゲンシカクニュウザイ
nuclear emulsion

電子,陽子,α粒子,そのほか荷電粒子飛跡を調べるために用いる写真乳剤.また,原子核乳剤を用いた写真乾板原子核乾板という.0.1~0.5 μm の微細な乳剤粒子がきわめて高濃度にゼラチン中に分散しているので,粒子間隔はほとんどなく,荷電粒子に対する停止力は高い.高エネルギー粒子の全飛跡を記録するために乳剤層も厚く50~100 μm のものが用いられる.とくに高エネルギー粒子に対しては,支持体をもたない感光乳剤膜を何枚も重ねて使用する.低温の弱い現像液を用いて1日程度現像するような特殊な現像が行われることもある.記録した飛跡の長さ,黒化度などから荷電粒子のエネルギー,質量,荷電数を決定できる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の原子核乳剤の言及

【原子核乾板】より

…入射荷電粒子が乳剤中のハロゲン化銀粒子を感光させてできる飛跡を顕微鏡観察し,粒子の種類,質量などを決定する。飛跡を正確にとらえるために,乳剤(原子核乳剤という)はハロゲン化銀粒子が0.1~0.5μmと小さく,かぶりが少なく,かつ粒子密度がきわめて高い。乳剤の膜厚は50~600μmで,厚いものでは支持体を使わずに乳剤膜だけ(ペリクルと呼ばれる)で用いられる場合もある。…

※「原子核乳剤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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