エネルギー(読み)えねるぎー(英語表記)energy 英語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エネルギー」の意味・わかりやすい解説

エネルギー
えねるぎー
energy 英語
énergie フランス語
Energie ドイツ語

一般に、物体が他の物体に対して仕事をすることができる状態にあるとき、その物体はエネルギーをもっているという。どんな物理系でも、外界となんの交渉ももたずに、限りなく仕事をし続けることはできない。これは経験の教える大原理であって「第1種永久機関の不可能の原理」とよばれる。ここで「仕事」ということばは物理学に特有の意味で使われている。

 一つの物理系Aが他の系Bに力Fを及ぼして着力点を力の方向に距離lだけ動かしたとき、AはBにFlだけの仕事をしたという。もし着力点が力と角θ(シータ)をなす方向に動いた場合にはFlcosθだけの仕事をしたという。人が9.8ニュートン(1キログラムの物体に作用して1m/s2の加速度を生じさせる力を1ニュートンという。ニュートンはNで表す)の力で荷物をぶら下げて水平面と角α(アルファ)をなす斜面を5メートル歩いたとすれば、力の方向と移動の方向とは90゜-αの角をなすから、この移動では
 9.8N×5m×sinα=4.9sinαN・m
だけの仕事をしたことになる(図A)。N・mをまたJと書きジュールと読む。ジュールは仕事の単位であるが、またエネルギーの単位でもある。

[江沢 洋]

いろいろなエネルギー

力学的エネルギー

質量mの物体を物理系Aとし、これが無重力の空間を速さvで右向きに走っているとする。これが物理系B(同じく質量mの物体)に衝突し、Bを一定の力Fで押していくなら、その反作用としてAはBから左向きに一定の力Fを受け、速さを単位時間当りF/mずつ減じて、時間Δtv/(F/m)ののちには止まってしまう(図B)。この時間にAが走る距離は
  l=(1/2)(F/m)(Δt)2=(mv2/2)/F
であるから、AがBにする仕事はFl=(1/2)mv2である。Bは同じだけの仕事をされて速さvで走り出す。Aは他のどんな方法で別の物理系に働きかけても、これ以上の仕事はできないことが証明できる。実際、過程Γ′でそれができたとしたら、その仕事の一部を使って、Aに力Fを右向きに時間Δtだけ働かせ、Aをもとの速さにする過程Γと交互にΓ′、Γ、Γ′、Γ……のように繰り返すことで永久機関がつくれるはずである。ところが、前述の「第1種永久機関の不可能の原理」から、それはありえない。したがって、速さvで走る質量mの物体はちょうど(1/2)mv2のエネルギーをもつことがわかる。これを運動エネルギーという。この物理系Aが孤立している場合、すなわちなんの力も受けない場合には、物体mの速度は変わらないから、物理系Aのエネルギーはいつまでも一定のままである。

 次に、物体mが鉛直下向きの重力mgが働く場を運動するとして、ここでも物体mを物理系Aにとる。ある瞬間に質点mの高さがz0、速度が鉛直上向きにv0であったとすれば、時間tののちには、高さは

となり、速度はv(t)=v0gtに変わる。したがって物理系Aのエネルギー(質点Aの運動エネルギー)も

に変わる(図C)。他方、物体mが上向きにz(t)-z0の距離を動く間、つねに重力場は下向きにmgの力をmに及ぼしていたため、仕事-mgz(t)-z0]をした。mの移動によりこれだけ重力場のエネルギーが減っていると考えられる。いいかえれば重力場のエネルギーは、+mgz(t)-z0]だけ増えている。そこで今度は物体mと重力場とをあわせて一つの物理系A1として、それぞれのエネルギーの増分を足し合わせてみると

となる。あるいは変形して

とすることもできる。左辺はつねにt=0における値に等しいからである。ここで付加されたmgzを物体mと重力場の相互作用エネルギーとよぶ。それに物体の運動エネルギーを加えたもの、つまり孤立系A1の全エネルギーが時刻tによらず一定なのである。なお、mgzをしばしば物体mの位置エネルギーともよぶが、これをもつのは物体と重力場をあわせた系であって、物体mだけではないということを忘れてはならない。

 一般に、物体mが力の場の中を任意の点Pから任意の点Qまで移動するとき、場のする仕事が始点Pと終点Qとの位置のみで定まって途中の経路によらないとき、この場は保存力の場であるという。そしてPを固定し、Qまでの移動で場がする仕事を、Qの位置rの関数とみて-V(r)と書く。そうすると、物体mが位置rにきたときの速度をvとして

という関係の成り立つことが運動の法則から証明される。そこで物体mについて(1/2)mv2を運動エネルギーとよび、V(r)を位置のエネルギーとよぶ。両者の和が時刻によらず一定であるという前記の関係を力学的エネルギー保存の法則とよぶ。なお、物体が回転もするときには回転運動のエネルギーも運動エネルギーに含めておかなければならない。

[江沢 洋]

熱のエネルギー

速度vで飛んできた物体mが水の中に飛び込んだとすると、物体は水の抵抗を受けてやがて静止する。このとき水の温度が上がり、実験してみると、あたかも高温の熱源に接触させて熱量

を加えたのと同じことになる。これだけ水の内部エネルギーが増すのである(図D)。そこで物体mと水とをあわせて物理系A2とすれば、これは孤立系となるが、物体の運動エネルギーと水の内部エネルギーの和(系A2の全エネルギー)はつねに一定となる。物体の内部エネルギーは摩擦のように仕事をすることによっても増加させることができる。一般に内部エネルギーUの変化を伴う過程では
  (力学的エネルギー)+U=一定
がエネルギーの保存則になる。

 温度の高い物体は熱をもつというが、温度はこのように力学的エネルギーの供給によっても上げることができる。内部エネルギーを増す操作のうえからは熱を力学的仕事から区別できるが、いったん物体の中に入って内部エネルギーとなってしまえば両者の区別はできない。

[江沢 洋]

その他のエネルギー

エネルギーには以上にあげたもののほか、音波などの波動のエネルギーや電磁場のエネルギーなど多くの種類が知られている。新しい現象に出会えば、エネルギー保存則を成り立たせるために新しい種類のエネルギーを考えねばならなくなることもある。これまでエネルギーの概念は、このようにして保存則を成り立たせるように拡張されてきた。今後もつねにこれが可能であるという主張をするのがエネルギー保存則の実質的内容である。

 全世界の海洋をエネルギー源として利用することはエネルギー保存則だけからは可能であるようにみえ、したがって永久機関に近いものがつくれそうに思われる。このように、一つの熱源から熱をとり、その全部を仕事に変え、それ以外になんの変化も残さないようにする装置を第2種永久機関とよぶが、それをつくることは実際は不可能である(熱力学第二法則)。他方、力学的エネルギーの場合はその全部を仕事に変えることができる。このようにエネルギーには種類により利用しやすさに差がある。その差はエントロピーで測ることができる。エントロピーの低い状態にあるエネルギーは秩序だっていて利用しやすいが、エントロピーの高い状態のエネルギーは、気体分子の乱雑な運動に代表されるように方向性がなく、利用しにくい。

[江沢 洋]

微視的世界におけるエネルギー

相対性理論によれば、物理系のエネルギーEE/c2だけの質量として現れる(cは光速3×108m/s)。粒子の速度が増すと運動エネルギーの増加に伴って質量が増すのは、その例である。こうしてエネルギーの保存則と質量の保存則は統一され、同じことを別の表現で述べているにすぎなくなった。物体が静止しているときの質量を静止質量とよび、それにc2を掛けた値を静止エネルギーという。物体を熱すれば静止質量が増す。しかし、系のエネルギーが1ジュール増しても質量は1.1×10-15kgしか増さないので、日常の現象ではエネルギーと質量は無関係な別ものとして扱われる。他方、核物理的な現象では電子と陽電子(質量の合計9.1×10-31kg×2)が対(つい)消滅して光(エネルギー1.6×10-13J)に変わるといった転化過程が普通におこる。この場合にも質量が消えるわけではなく、光を容器にとらえれば質量がそれだけ増しているのがわかるはずで、質量がエネルギーに変わったというのは正しくない。質量が姿を変えただけである。

 陽子(質量1.673×10-27kg)92個と中性子(質量1.675×10-27kg)143個が結合するとウラン235の原子核ができるが、その質量は3.902×10-25kgしかなく、陽子と中性子の質量の和より3.2×10-27kgも軽い。これは、陽子と中性子はばらばらにいるときより、互いに引き合って原子核をつくっているほうがエネルギーが下がるからであり、その差を結合エネルギーという。同様のことは他の原子核でもおこっている。ウラン235は中性子でたたくと、大きさが同じくらいの二つの核に分裂し、同時に2個または3個の中性子が飛び出す。この分裂後の質量の総計はウラン235の質量より小さい。その差Δmに相当してΔmc2だけのエネルギーが解放され核分裂破片の運動エネルギーやガンマ線として現れることになる。これがいわゆる核エネルギーである。しかし、この場合にも全体を容器に収めて全質量を測ることができたとすれば、核分裂の前後で質量は変わらないことがわかるはずである。核エネルギーは重水素のような軽い核が融合するときにも解放される。

 原子核に電子が結合して原子をつくるとき、また原子が結合して分子をつくるときにも結合エネルギー分だけ質量が減るはずであるが、それぞれ原子の質量の1億分の1、10億分の1程度にすぎないので普通は問題にならない。

 光はエネルギーのかたまりとして物質により放出または吸収される。このかたまりを光子という。そのかたまりの大きさは光の振動数ν(ニュー)で決定しhνである。ただしhプランク定数6.6×10-34J・sである。光子のエネルギーは赤い光(ν~4.5×1014s-1)では3.0×10-19J程度であるのに対し、紫色の光(ν~7.5×1014s-1)では5.0×10-19J程度になる。赤外線にいくら当たっても日焼けしないが紫外線に当たると日焼けするのは、前者の光子のエネルギーが、日焼けの化学反応をおこすには小さすぎるためである。

 電子が原子くらいの大きさの領域に閉じ込められると特定のエネルギーの値しかとれなくなる。その特定の値をエネルギー準位とよぶ。たとえば、水素原子の電子のエネルギー準位は
  -2.18×10-18J/n2n=1,2,……)
である。この電子は、原子核の近くを回るほどエネルギーが低くなるはずであるが、電子のエネルギー準位はn=1の場合に最低値をとり、これ以下になることはないため、核に落ち込むことができない。これは他の原子でも同様で、つまり、エネルギー準位の存在が原子を崩壊から守り、物質の安定性を保証している。エネルギー最低の準位を基底準位とよび、対応する運動状態を基底状態とよぶ。電子を一つの準位から、より高い準位に上げることを励起するという。たとえば、基底準位(n=1)から第一励起準位(n=2)への励起には-2.18×10-19J×(2-2-1-2)だけの励起エネルギーが必要である。これに等しいhνの光を当てれば励起ができる。n=1の準位からn→∞への励起エネルギーは、原子から電子をはぎとるのに必要なエネルギーで、イオン化エネルギーとよばれる。

 一般に一つの物理系について時刻tとエネルギーEを同時に正確に測ることは不可能で、それぞれの誤差ΔtΔEの間に不確定性関係ΔEΔtħħは、プランク定数hを2πで割ったもの。つまりħh/2π)がある。その著しい例は、原子の励起状態の寿命τ(タウ)と対応するスペクトル線の自然幅Δνとの関係Δν=1/(2πτ)である。また素粒子の寿命τと質量の幅との間にも同様の関係ΔMc2~ħ/τがある。

[江沢 洋]

エネルギー概念の成立

エネルギー概念が物理学において確立されたのは、通例では19世紀なかば、すなわち1840年代のマイヤー、ジュール、ヘルムホルツらによるエネルギー保存則提起の時期とされている。ただし、当時知られる限りのすべての形態のエネルギーに対して、ことばとして初めてエネルギーとよんだのはランキンであり、1850年代に入ってからである。以上の時期に先だつエネルギー概念導入の過程は、まさに力学の成立・展開とともに、カテゴリーとしてのエネルギー概念を一歩一歩明確化させる過程として進められた。その後、以上の保存則成立期以降において、力学的エネルギー、熱エネルギー、電磁気的エネルギーなどが統一的にとらえられるようになり、さらに、20世紀に入って相対論により質量とエネルギーの同等性が提起される。このようにみてくると、物理学の発達の歴史は、まさに、エネルギー概念の拡大・展開の歴史でもあるということができよう。そしてエネルギー保存則は、つねに、新たな形態のエネルギーをそのなかに包摂しながら、より普遍的かつ基本的な自然法則として維持され、今日に至っている。

 歴史上、最初に「仕事の量」を問題にすることで、エネルギー概念への端緒を与えたのはレオナルド・ダ・ビンチであり、てこ、滑車などの器具を用いた場合、仕事の量を増加させることはできないと指摘した。ダ・ビンチの業績は物理学としての力学研究の先駆ともなるものであった。16世紀末から17世紀初めにかけてガリレイケプラーによる力学、天体運動に関する研究が進む。物体が落下に際し、もとの位置に戻るのに必要な速度を得るという事実は、ガリレイにより実験的にみいだされた。以上の事実に対して、「宇宙のなかにつねに同じ量の『運動』を保存している」(『哲学原理』1644)と述べて、初めてエネルギーについての体系的な説明を与えようとしたのはデカルトである。デカルトにおけるこの「運動」は今日の意味では運動量であり、これは「運動量保存則」を述べている。そして、デカルト派は「力の測度」は「運動の量」mvであるとした。これに対してライプニッツは、「力の測度」はmv2であることをガリレイの実験結果に基づいて主張した(1686)。ライプニッツが「活力」vis vivaと名づけたこの「力」は、今日の意味では1/2の係数を別にして運動エネルギーそのものである。ニュートンは1687年『プリンキピア』を世に出しているが、力、運動量、エネルギー概念に関する当時の混乱に巻き込まれることを避けるためか、そのなかでエネルギー概念については何も述べていない。「力の測度」は何であるかをめぐってのこのライプニッツ派―デカルト派の論争は18世紀なかばころまで続く。この論争に決着をつけ、力学におけるそれぞれの量の意義を明らかにすることは、ダランベールらによってなされ、のち、T・ヤングはmv2に対して初めてエネルギーということばをあてた(1807)。

 19世紀に入って、産業革命の全ヨーロッパ的展開による蒸気機関の普及と鉄道の発達は、エネルギー保存則成立への第一の前提となった。蒸気機関車はエネルギー転換装置の典型として当時の人々の目に映った。そのなかで熱力学が成立する。第二の前提条件は近代化学の成立、生物学の展開であり、化学、生物学の面からエネルギー転換に関心が寄せられた。第三は電磁気学の成立である。J・R・von・マイヤーは、船医としての経験から、熱帯地方では船員の血液が赤みを増すことに気づき、そこから、一般原理としてエネルギー保存則を提起した(1842、1845)。ジュールは電流の熱作用についてのジュールの法則をみいだし(1840)、分銅の落下による仕事で電磁誘導を利用して電流を生じさせ、その電流による発生熱量の測定から、熱の仕事当量を初めて定めた(1843)。さらに、1845年には有名な羽根車の実験で直接それを求めている。マイヤー、ジュールに次いで、エネルギー保存則の解析的表現を与えて定式化したのはヘルムホルツである(1847)。以上のように、1840年代を通じての明確な形での保存則の提起・確立によって、さらに19世紀後半から20世紀にかけての新たな諸科学・技術学の登場と成立過程を通じて、エネルギー概念は物理学のみならず、全自然科学体系にとっての基本カテゴリーとしての位置を占めることになる。しかしながら、当時はマイヤーもヘルムホルツもエネルギーを「力」とよんでいた。これは、先に述べた問題がなお尾を引いていたとみられる。エネルギーの語がことばとして定着するのは、J・J・トムソン、ランキン以降である。

 以上のエネルギー保存則の成立期は同時に熱力学の興隆期であり、エネルギー保存則は熱力学第一法則としてそのなかに位置づけられる。いいかえれば第1種永久機関の不可能性を意味するものとなる。そして、熱機関の熱効率を規定する法則として熱力学第二法則がみいだされ、これは第2種永久機関の不可能性を示すとともに、エントロピー概念を提起する。こうしてエネルギーの転換と移動を規定する科学としての熱力学の成立は、熱機関の技術的展開と並行し、それに支えられて進められる。1860年前後にマクスウェルにより電磁気学の体系化が行われ、1860年代から1870年代にかけて、E・W・von・ジーメンス、グラム、アルテネックらの努力で、力学的エネルギーを電気的エネルギーに転換する機関としての発電機が実用化され、1882~1883年、エジソンによる中央火力発電所の建設・操業開始(ニューヨーク、ロンドン)は電気エネルギー利用を社会的な形で位置づけた。ここに電気の時代が始まる。

[荒川 泓]

『朝永振一郎編『物理学読本』(1969・みすず書房)』『有光敏彦著『初等物理シリーズ3 エネルギーと熱』(1989・培風館)』『小山慶太著『永久機関で語る現代物理学』(1994・筑摩書房)』『荒川泓著『エネルギー・3つの鍵』(1996・北海道大学図書刊行会)』『伊東弘一・大岡五三実・武田洋次・片山紘一・町井令尚著『エネルギー工学概論』(1997・コロナ社)』『岡部豊・堂寺知成著『エネルギーと熱』(1998・放送大学教育振興会)』『日本原子力学会編『ミクロ科学とエネルギー』(1999・コロナ社)』『藤田秀臣・加藤征三著『機械システム入門シリーズ10 熱エネルギーシステム』(1999・共立出版)』『茅陽一・鈴木浩・中上英俊・西広泰輝・村田稔・森信昭編『エネルギーの百科事典』(2001・丸善)』『藤井康正・茅陽一著『岩波講座現代工学の基礎5 エネルギー論』(2001・岩波書店)』『阿部龍蔵著『エネルギーと電磁場』(2002・裳華房)』『江沢洋著『量子力学1、2』(2002・裳華房)』『江沢洋著『相対性理論とは?』(2005・日本評論社)』『成田正邦著『量子エネルギー工学入門』(2003・現代工学社)』『R・P・ファインマン著、江沢洋訳『物理法則はいかにして発見されたか』(岩波現代文庫)』『池内了著『私のエネルギー論』(文春新書)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エネルギー」の意味・わかりやすい解説

エネルギー
energy

物理系が他に対して仕事をする能力をもつとき,これを系のエネルギーという。保存力場内の物体は位置エネルギーをもつ。運動する物体がもつ運動エネルギーはさらに回転エネルギー,振動エネルギーなどに分類されることもある。以上を力学的エネルギーと総称する。熱はエネルギーの一種であって,熱エネルギーと呼ばれるが,その実体は系を構成する微粒子の力学的エネルギーの総和である。電磁現象には電磁エネルギー,光には光エネルギー,化学物質には化学エネルギー,原子核現象では核エネルギーなどが考えられる。あらゆる物理変化,化学変化において,これらのエネルギーの総和が保存されることを広義のエネルギー保存則という。この保存則に基づき,自然現象を各種のエネルギーの相互転換によって理解しようという巨視的立場が 19世紀のエネルギー一元論 (エネルゲティク) である。

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