化学辞典 第2版 「反転異性体」の解説
反転異性体
ハンテンイセイタイ
inversion isomer
ピラミッド形分子の中心原子に関する反転,あるいは,環状化合物の環の反転によって生じる異性体をいう.ピラミッド形分子としては,周期表5族および6族の原子を中心とするものが知られており,原子が大きいほど反転の障壁が高く,また,三つの置換基が相異していればエナンチオマーが生成する.環状化合物としてはシクロヘキサン誘導体に関してよく研究されており,反転の障壁は比較的高い(約42 kJ・mol-1).反転によって生成する異性体はジアステレオマーであるが,常温で単離できることもある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報