改訂新版 世界大百科事典 「古典群」の意味・わかりやすい解説
古典群 (こてんぐん)
classical groups
行列の作る群は数学のみならず物理学においても重要である。とくに以下に述べるものは典型的な群として広い応用をもち,古典群と総称されている。実数を成分とするn次の正方行列で逆行列をもつものの全体は行列の積に関して群を作る。これを実数体上の一般線形群という。実数を成分とするn次正方行列で,その行列式の値が1であるものの全体は一般線形群の部分群を作る。これを実数体上の特殊線形群という。複素数体上の一般線形群,特殊線形群も同様に定義される。実数(または複素数)を成分とするn次正方行列(aij)で,ā1ia1i+ā2ia2i+……+āniani=1,ā1ia1k+ā2ia2k+……+āniank=0(i≠k)を満たすものの全体は一般線形群の部分群を作る。これを直交群(またはユニタリ群)という。四元数を用いることにより同様にシンプレックティック群が定義される。直交群(またはユニタリ群)と特殊線形群の共通部分を回転群(または特殊ユニタリ群)という。
執筆者:中岡 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報