日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
可変速駆動電動機システム
かへんそくくどうでんどうきしすてむ
adjustable speed motor system
回転速度を広範囲に制御できる電動機とそのシステム。パワーエレクトロニクスの進歩によりサーボアンプ(サーボモーターの駆動装置。サーボドライバーともよばれる)やインバーターで電動機を駆動すれば、どのような電動機でも可変速運転を容易に行うことができるようになった。そこで、サーボアンプやインバーターなどと電動機をあわせたものを可変速駆動システム(ASD:adjustable speed drive system)、あるいは可変速電動機システムとよぶ。
現在、可変速駆動システムとして利用されているもののほとんどは交流電源を用いた交流可変速駆動システムである。交流の商用電源を整流し、インバーター回路により三相交流に変換し、誘導電動機、同期電動機などの交流電動機を駆動する。インバーターにより可変周波数、可変電圧の交流電力を電動機に供給する。駆動制御の方法によりVVVF制御、ベクトル制御などともよばれる。またサーボアンプを用いた直流電動機の可変速システムも用いられている。電車、エレベーター、家電など電動機を利用する機器の多くが可変速駆動電動機システムを使用している。
1980年代以前のパワーエレクトロニクスの普及する前には、電動機単体で速度を変更しやすい電動機を加減速度電動機とよんでいた。
[森本雅之]