同時死亡の推定(読み)どうじしぼうのすいてい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「同時死亡の推定」の意味・わかりやすい解説

同時死亡の推定
どうじしぼうのすいてい

死亡した数人の間で、その死亡時期の前後が明らかでない場合には、同時に死亡したものと推定される(民法32条の2)。これを同時死亡(または同死)の推定という。たとえば、船舶が沈没して死亡した乗客甲乙の死亡時期の前後が不明の場合や、山で死んだ甲とそのころ海で死んだ乙との間の死亡時期の前後が不明の場合に適用される。同時死亡の推定の結果、たとえば同時死亡したものと推定される甲と乙とが父子の場合には、相続は生じない。ただし子乙に子(父からみると孫)があるときには、孫はその父乙に代襲して祖父甲の相続をする(同法887条2項)。なお、同時死亡の推定は、「推定」であるから、反証をあげれば覆すことができる。

淡路剛久

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android