反証(読み)ハンショウ

デジタル大辞泉 「反証」の意味・読み・例文・類語

はん‐しょう【反証】

[名](スル)
相手主張うそであることを証拠によって示すこと。また、その証拠。反対の証拠。「反証を挙げる」

訴訟法上、立証責任のない当事者が、相手方の申し立てた事実・証拠を否定する目的で提出する証拠。⇔本証
㋑ある推定をくつがえす事実を証明すること。
[類語]物証人証書証傍証偽証

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精選版 日本国語大辞典 「反証」の意味・読み・例文・類語

はん‐しょう【反証】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある主張が嘘であることを示す証拠。反対の証拠。
    1. [初出の実例]「却て自家の猜疑嫉妬を披露するの反証たるに過ぎざるなり」(出典:政党評判記(1890)〈利光鶴松〉一)
  3. 民事訴訟刑事訴訟において、立証責任のない当事者が、相手方の申し立てた事実または提出した証拠に対し、それと両立できない事実を証明し、または、その証拠を否定するために提出する証拠。本証に対するもの。〔袖珍新聞語辞典(1919)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「反証」の意味・わかりやすい解説

反証
はんしょう

訴訟法上、立証責任のない当事者が、相手方で立証責任を負う事実を否定する目的で、それと両立しえない事実を証明するために提出する証拠をいう。立証責任を負う当事者がその主張事実の存在を証明するために提出する証拠方法である本証に対する概念である。つまり、本証が目的を果たすためには、要証事実について裁判官確信を抱かせる必要があるが、反証は、反対の事実について裁判官に確信を抱かせる必要はない。それは、本証による裁判官の心証形成を妨げ、または動揺させることによって、当該事実につき真偽不明の状態に追い込む程度で目的を達する。その程度で優に要証事実の真否が不明となり、立証責任を負う当事者が不利益な判断を受けることとなるからである。

[内田武吉]

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普及版 字通 「反証」の読み・字形・画数・意味

【反証】はんしよう

反対の証拠。

字通「反」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の反証の言及

【証拠】より

…間接証拠によって証明された事実(いわゆる間接事実)は,要証事実を推認する根拠となる。(3)証拠調べが終了したにもかかわらず,要証事実の存否が確定されない場合に,不利益な認定を受ける当事者の地位を指して,挙証責任というが,民事訴訟では,挙証責任を負う者が提出する証拠を本証といい,その相手方が提出する証拠を反証という。刑事訴訟では,挙証責任は原則としてすべて検察官が負うのであり,そこでは反証とは,本証に対するものとしてではなく,むしろ,挙証責任の有無とは無関係に相手方の証拠の証明力を争うために提出する証拠を指す。…

※「反証」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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