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相続 そうぞく inheritance; succession

10件 の用語解説(相続の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

相続
そうぞく
inheritance; succession

人の死亡によって死者に属していたものが包括的に一定の者に承継されること。身分相続祭祀相続,祖名相続などがあるが,その中心は財産相続である。近代法では相続は私有財産制と結びつき,(1) 被相続人の所有権の自由 (財産処分の自由) ,(2) 遺族の生活保障の必要,(3) 被相続人と取引関係にあった者の保障 (取引安全の確保) を根拠とする。

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相続
そうぞく

財産や地位・役割などを次の世代へ伝達すること。一般には財産の世代的伝達を相続といい,これに対して地位や役割などの世代的伝達を継承と呼んで区別する。古来日本には,家長の地位を意味する家督と,それに付随する財産をほぼ一括して相続する家督相続の形態が多くみられた。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

相続

人が死亡した時、その者(被相続人)の財産的な権利義務を、法律及び遺言で特定の者(相続人)に引き継がせること。相続人が複数の場合、共同して相続(共同相続)する。この引き継ぎ(相続)は、被相続人の死亡によってのみ発生し、相続登記共同相続人の間での遺産分割協議が成立するなどの手続きは必要ない。

(吉岡寛 弁護士 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

そう‐ぞく〔サウ‐〕【相続】

[名](スル)
家督・地位などを受け継ぐこと。跡目を継ぐこと。「宗家を相続する」
法律で、人が死亡した場合に、その者と一定の親族関係にある者が財産上の権利・義務を承継すること。現行民法では財産相続だけを認め、共同相続を原則とする。

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監修:松村明
編集委員:池上秋彦、金田弘、杉崎一雄、鈴木丹士郎、中嶋尚、林巨樹、飛田良文
編集協力:曽根脩
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百科事典マイペディアの解説

相続【そうぞく】

ある人が死亡した場合に,その者と一定の親族関係に立つ者がその財産上の法律関係(債務も含む)を承継すること(民法882条以下)。私有財産制度とともに発達した。相続の中心は財産相続であり,ほかに身分相続,祭祀相続,祖名相続などがあるが,本質は財産の相続である。
→関連項目遺産遺産相続遺産分割失踪宣告親族推定相続人相続税嫡出子内縁卑属分割相続

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とっさの日本語便利帳の解説

相続

死者が生前に持っていた財産に属する一切の権利義務を、他の者が包括的に承継すること。この場合の死者を被相続人、承継する者を相続人、承継される包括的な財産を相続財産(遺産)という。相続は被相続人の死亡だけを原因とし、相続人となる者は被相続人の子・直系尊属兄弟姉妹及び配偶者に限られ、配偶者以外は相続順位が法定されている。

出典|(株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」
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かんたん不動産用語解説の解説

相続

ある人が死亡したとき、その人の財産を引き継ぐこと。死亡と同時に相続が開始し、財産に関する一切の権利義務は、相続人(原則、配偶者と子供)が引き継ぐことになる。遺言で財産の配分を決めてある場合は、原則として遺言通りとなります。また、相続人が2人以上のときは、財産の全部が相続人全員の共有財産となり、相続人全員の協議が整った後、配分が決まります。

出典|(株)ネクストコーポレーション
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世界大百科事典 第2版の解説

そうぞく【相続】

ある人(自然人)の財産法上の地位,つまり権利・義務の総体が,その者の死亡時に,法律および死亡者の最終の意思の効果として,特定の者によって承継されることを相続という。死亡した親の財産を子が取得するのは,死亡者の子が法律によってその相続人と定められているからである。また,死亡者の財産の一部が第三者に与えられることがあるのは,その者に当該財産(部分)を与えるという死亡者の最終の意思が遺言によって表明されているからである。

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大辞林 第三版の解説

そうぞく【相続】

( 名 ) スル
先代に代わって、家名などを受け継ぐこと。 「名跡を-する」
〘法〙 死者が生前にもっていた財産上の権利・義務を配偶者・子などの親族が包括的に承継すること。
次々に続くこと。 「凡およそ百五十余年連綿と-す/滑稽本・浮世風呂 3

出典|三省堂
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

相続
そうぞく

広くは、死亡その他の事情によってその人の財産上の法律関係を中心とする法律上の地位を、主として親族関係にある者が受け継ぐことをいう。その形態は、社会により、また時代によりさまざまである。[高橋康之]

相続制度の諸形態


単独相続と共同相続
財産の大半が氏族や家に属し個人の財産というものがほとんどなかった時代には、相続は家長としての地位の承継、祖先の祭祀(さいし)、家名の承継という面に重点が置かれ、財産の相続はそれに付随するものと考えられた。そのような相続制度のもとでは、相続人は必然的に単独であることを要求される(単独相続)。だれが相続人となるかは、歴史的、地理的に諸種の形態がみられる。古代ローマでは、遺言によって指定された相続人が家長としてその地位と家産を承継するのが原則であった(遺言がない場合には無遺言相続として共同相続となる)。単独相続がもっとも厳しく要求されたのは、封建制のもとにおける封地の相続についてであった。中世ヨーロッパでは、主君と家士との間で臣従の契約が結ばれると、家士は主君に対し軍務を中心とする忠誠の義務を負うと同時に、封地の授与を受けた。この封地は、貴族の体面を保つためと、忠誠義務履行の物質的保証であることから、不可分のものと考えられ、相続に際しては多くの子のうち家士としてもっともふさわしい者1人がこれを受け継ぐことが要求された。その結果、長男子の単独相続制が生まれたのである。日本でも事情は同じであって、中世以降、武士の相続は、家名の承継の観念と相まって、長男子の単独相続が行われた。もっとも、家産の分散を避けるために、家業の基礎となる財産(田畑、商店など)について単独相続の形をとる必要のあることは、武士以外の庶民においても同様であった。その場合は、長男子の単独相続ばかりでなく、最年長であれば女子でも相続できる姉家督相続や、末子だけが相続する末子相続のような慣行もあった。近代になって氏族・家が分解し、財産も個人の私有財産として意識されるようになると、相続は夫婦・親子といった小さな範囲の近親者の間における純然たる財産の承継という性質をもつことになる(財産相続)。この場合には、遺産は一定の順位の相続人間に平等に分配されるのが常則である(共同相続)。とくにフランス革命は、長男子相続制を維持してきた封建制度を根本的に廃棄して、平等主義を唱え、相続における諸子均分主義を確立した。[高橋康之]
自由相続主義と法定相続主義
以上の類別のほかに、相続には自由相続(遺言相続)主義と、法定相続主義の二つの形態がある。自由相続主義とは、被相続人(死者)の主として遺言による自由な財産処分を広く認める主義であり、法定相続主義とは、だれが相続人となるかを法律で定める主義をいう。人は生前に自分の財産をどのように処分するかの自由を有するのと同様に、死後の財産の処分についてあらかじめ定めておく自由もあるというのが自由相続主義の根拠であるので、一般的にいえば、自由相続主義は個人の私有財産の自由処分を認める比較的近代の所産であるといってよい。しかし他方において、遺言は、古代ローマの家長の指定相続や、封建時代の貴族の家産の維持のためにも用いられた歴史をもつので、そのような面から遺言による相続に反情的な社会もあるなど、自由相続主義をとるか法定相続主義をとるかはその社会のさまざまな要因によって左右される。イギリス、アメリカは遺言相続が、フランス、ドイツや日本では法定相続が中心となっているが、自由相続主義をとる場合も補充的に相続人を法定する必要があり、また法定相続主義をとる場合も多かれ少なかれ遺言の自由が認められているので、両者の差異は見かけほどではないともいえる。なお、法定相続のたてまえと遺言の自由とを調和させるために遺留分の制度がある。[高橋康之]
相続人の範囲
相続が家産の維持継承を主たる目的とする社会では、家長となるべき相続人は、被相続人の血族のなかから広くこれを求める必要があった(日本の家督相続では血族関係のない他人が家督相続人になることすらあった)。共同相続が行われる場合でも、かつては死者の財産はできるだけ死者の血族に相続させようという考えが支配的であり、たとえば1804年のフランス民法では、被相続人の12親等の傍系血族まで相続人となる資格が認められてきた。しかし、大家族が解体し親族間の連帯関係も薄れ、生活が小家族中心に行われるようになってくると、このような制度は「笑う相続人」(被相続人の死によって泣くはずの相続人が、遺産が転がり込んで笑っている状態。そのような者に相続させる必要はないことを意味する)を生むばかりだという批判を受け、今日では相続人となりうる血族はきわめて狭い範囲に限定されてきている。
 ヨーロッパ諸国の相続法は、血族相続という観念が強く、配偶者は相続から除外されるか、きわめて劣った地位にたたされるかのいずれかであった(もっとも、夫婦共有財産制をとっている社会では、夫婦の一方が死亡すると共有財産が清算されることによって配偶者は分け前を得ることができる)。しかし、現代社会では、相続は遺族の生活保障であるという性格を強めてきており、その面から配偶者の相続権はしだいに強化される傾向にある。キリスト教国では、正当な婚姻によって生まれた子でない非嫡出子(嫡出でない子、婚外子)は家族メンバーたりえず、これを相続から除外するか、きわめて劣悪な地位に置くことが長い間行われてきたが、子の平等化の動きのなかで、1960年代以降、相次いで非嫡出子は嫡出子と平等の相続権をもつという立法がなされた。日本は、こうした流れに反して、非嫡出子に平等な権利を認めてこなかった。しかし、2013年(平成25)9月4日、「(2001年(平成13)7月に死亡した被相続人の)遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件」において、最高裁判所は、大法廷の決定によって、「平成13年7月当時においては、立法府の裁量権を考慮しても、嫡出子と嫡出でない子の法定相続分を区別する合理的な根拠は失われていたというべき」であり、嫡出でない子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定める民法900条4号但書は、「遅くとも平成13年7月当時において、(法の下の平等を定める)憲法14条1項に違反していた」とした(民集67巻6号1320頁)。この決定を受けて、同年、同号但書のうち、非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする旨を定める部分が削除され、非嫡出子に嫡出子と同等の相続権が与えられた。[高橋康之・野澤正充]

日本の相続制度の変遷

推古(すいこ)天皇(在位592~628)以前の上代は神の支配する時代であり、その前期である弥生(やよい)文化の時代(前2、3世紀~後2世紀ごろ)には、氏上(うじのかみ)の地位の相続は火の相続であったが、中期(3、4世紀ごろ)には、相続の目的は氏神(うじがみ)の祭祀権の相続に変わった。氏上は氏神を祭り、神がかりの状態で神意を宣(の)ることによって、氏を支配できたからである。後期(5、6世紀ごろ)には神の威力は衰えて、各氏上の地位は天皇によって認められることが重要になったので、ここに各氏上が天皇に対して負う業(わざ)が相続の主たる目的となった。この業の相続が明治民法の行われるまで、日本の相続の中心観念であった。当時、氏の名称はその業の名をつける例だったので、ここに氏の名相続(祖名相続)の観念も生まれた。相続人の選定については、前・中期では神意によることも行われたが、後期になると主として被相続人の意思によることになった。
 律令(りつりょう)時代の上世の相続には、継嗣令(けいしりょう)による相続と戸令(こりょう)応分条による相続とがあった。前者では、継嗣(嫡子)は、大宝(たいほう)令によれば、蔭位(おんい)(父祖のお蔭(かげ)により子孫に位を賜る)の形での位階の相続人であったが、養老令では、中国流の祖先崇拝を中心とする祭祀の相続人に変わった。後者は財産相続であり、養老令の規定では、遺産は被相続人の意思が分明のときはそれによったが、養老令には分明の証拠がない場合の法定相続人とその相続分が定められている。
 中世では、武士については本家および分家よりなる一族の上首である家督が生まれたが、その地位の相続は結局本家の相続に帰着する。家の相続人は嫡子とよばれたが、嫡子は家業(武士については主人への奉公)の相続人であり、嫡出長子が嫡子となるのが普通で(長子相続)、これを「生得嫡子」とよんだ。財産の中心は所領で、生前に諸子に譲与するのが普通であったが、分割相続を続けると、家領が細分化し、家の実力と名声とが衰えるので、内部的には分割しながら、外部的には総領(普通は家督)が全体を知行するようにみせる総領制が前期(平安時代後半期)の末ごろ発達した。後期(室町時代)になると総領制も衰え、長男が単独で相続する単独相続制が発達した。室町時代には、また名の相続の観念が発達し、家の相続のことを名字(みょうじ)の相続とよんだ。
 近世前期(戦国時代)には、武士の相続法と庶民のそれとが分離する傾向を示したが、江戸時代に入ると、両者ははっきり区別された。武士の相続は家名相続の観念と結合した封禄(ほうろく)の相続(それは家業すなわち奉公によって支持される)であり、長男の単独相続制であり、また相続とはいうものの、被相続人の願い出による封禄の再給にほかならなかった。庶民の相続では、家業の相続の意味で、農民では田畑屋敷の相続、商人では営業に必要な家屋(店)および金銀の相続が行われたが、地方によって相違はあるものの、一般的には、分割相続から単独相続へと移った。庶民には名字はなかったから、家名相続の観念はなかったが、これにかわるものとして、襲名があり、商人の間では屋号の相続が行われた。
 明治時代になってからの変化として注目すべきことは、初期には家禄の制を有する士族については特別の扱いがなされたが、1877年(明治10)に家禄の制もなくなったこともあって、この前後から、士族・平民が同様の扱いを受けるようになったことと、江戸時代の武士の制を一般化して、士族・平民を通じた、長男が家産と戸主権を単独に相続する家督相続の制が生まれたことである。[石井良助]

日本の現在の相続制度

日本では明治民法時代には、戸主の地位の相続である「家督相続」と、戸主以外の家族の財産の相続である「遺産相続」とがあり、「家督相続」は家の財産の相続であると同時に、戸主たる地位そのものの相続でもあった。そのため相続人は1人に限られ(単独相続)、また戸主が隠居することによって家督相続が行われることが認められていた(生前相続)。第二次世界大戦後の民法改正で家制度が廃止されると同時に家督相続も廃止され、現在では相続は死後相続・財産相続に限られ、数人の者が同時に相続する共同相続が原則となった(民法882条~1044条)。[高橋康之]
相続人
相続人になるのは、被相続人(相続される人)の、(1)子、(2)直系尊属(父母、祖父母など)、(3)兄弟姉妹と、被相続人の配偶者である。その順位は(1)(2)(3)の順で、配偶者はどの順位のものが相続人となる場合でもいっしょに相続人になる。子が数人いる場合にはみな相続人となる。実子・養子・男女の別によって差別されないし、よそへ嫁や養子に出ていることも問題にされない。子が被相続人より前に死んでいた場合には、その者に子(被相続人にとっては孫)がいれば、その被相続人の孫が、生存する被相続人の子と同順位で相続人となる。これを「代襲(だいしゅう)相続」という。代襲相続は子が欠格・廃除によって相続権を失った場合にも認められる。代襲すべき者(孫)も被相続人より先に死んでいる場合にその子(曽孫(そうそん))がいれば、その子が再代襲する。
 子や子を代襲する者が1人もいない場合には、第二順位として直系尊属が相続人となる。直系尊属のうちでは親等の近い者が相続人となる(父母と祖父母がいれば父母が相続人)。実父母・養父母どちらも相続人となることができる。直系尊属もいないときは、第三順位として兄弟姉妹が相続人となる。この場合にも代襲相続が認められる。すなわち、相続人となったはずの兄弟姉妹が被相続人よりも先に死んでいる場合には、その子(被相続人の甥(おい)・姪(めい))が代襲して相続人となる。被相続人の甥・姪の子は再代襲しない。
 これらの血族の相続人がいない場合には、配偶者だけが相続人となる。相続人となる者の有無が明らかでないときは、「相続人不存在」の手続がとられ、家庭裁判所が選任した管理人が一方で相続人を捜索し、他方で遺産の整理をする。相続人が出てこない場合には、遺産は被相続人と生計を同じくしていた者(内縁の妻とか事実上の養子など)、そのほか被相続人と特別の縁故があった者に分け与えられることがある。それでも残った遺産は国庫に帰属する。[高橋康之]
相続人の資格
相続人となるためには、被相続人の死亡当時に生存しているか、胎児であること、また相続欠格者でなく、廃除されていない者であること(相続人資格)が必要である。故意に被相続人や自分より先順位または同順位の者を殺したり殺そうとしたために刑に処せられた者など一定の不徳な行為をした者は相続欠格者として相続人となる資格がない。また被相続人に対して虐待や重大な侮辱を加えるなど、著しい非行のある相続人については、被相続人は生前でも遺言ででも、家庭裁判所に相続人廃除の請求ができ、家庭裁判所が廃除を認めると、その相続人は相続権を失う。[高橋康之]
相続分
相続人が1人の場合には、その相続人は相続財産のすべてを1人で承継するが、同順位の相続人が2人以上いるときは、各自の相続の割合が決められなければならない。その割合を相続分という。相続分は、被相続人が遺言で指定する場合(指定相続分)と、遺言がなくて法律の規定による場合(法定相続分)とがある。なお、相続人の実際の取り分は、特別受益分を控除したり、寄与分を加えたりするため、法定の割合とは異なる数額になる場合がある。[高橋康之]
遺産の分割
遺産は、金銭、土地、動産、貸金債権などのさまざまな財産で構成されているが、この個々の財産をだれに与えるかを具体的に決めて分配することを遺産分割という。被相続人が遺言で分割の方法を定めたり、またこれを定めることを第三者に委託したときは、これに従う。遺言がないときは共同相続人間の協議で定める。協議がまとまらなかったり不可能であれば、家庭裁判所で決めてもらう。分割は、遺産に属する物または権利の種類・性質、各相続人の職業その他いっさいの事情を考慮して行われる。[高橋康之]
相続の回復
相続人でないのに相続人であると主張して遺産を占有する者(表見相続人)に対して、真正の相続人は、当然相続の回復を請求できる。民法では、その請求権を相続回復請求権という特別の請求権として構成し、この請求権は、相続権侵害の事実を知ったときから5年、被相続人死亡のときから20年たつと消滅するとしている。共同相続人の一人が遺産の全部を占有している場合に他の共同相続人が遺産の分け前を主張するのも、相続回復請求権の行使であると解されているが、その場合でも、遺産を占有している者が他に相続人がいることを知りながら、または過失によって知らないで占有しているときは、5年・20年の請求期間の制限を主張できない。[高橋康之]
相続の承認・放棄
相続人が承継する遺産にはプラスの財産(積極財産)だけでなく、マイナスの財産(債務、消極財産)も含まれる。したがって遺産が明らかに債務超過の場合などには、相続人は相続しないほうが得であろう。そこで民法では、相続を承認する(相続承認)、あるいは放棄する(相続放棄)のいずれかを選ぶことができるようになっており、いわば選択の自由を相続人に認めた。相続を「放棄」すると、その相続人は初めから相続人とならなかったものとみなされる。相続を承認する場合には、積極財産とともに遺産のうちに含まれる債務をそのまま相続人が承継して遺産と相続人の固有の財産が融合してしまう「単純承認」と、相続によって得た財産の限度でだけ被相続人の債務や遺贈を弁済するという条件付きで遺産を承認する(したがって遺産はいちおう遺産だけで清算され、債務超過でも相続人の固有の財産は影響を受けない)「限定承認」の二つの種類がある。限定承認の場合は、相続人全員ですることが必要で単独ではできない。限定承認あるいは放棄をしようとするときは、自己のために相続が始まったことを知ったときから原則として3か月内に手続をしなければならず、それをしないと単純承認をしたものとして扱われる。[高橋康之]

国際私法上の相続


各国法の違い
相続に関する諸国の法律はさまざまである。大きな違いの一つとして、承継主義と清算主義の違いがある。承継主義とは、被相続人(死者)に属していた権利義務が包括的に相続人に承継されることを原則とするものであり、それを前提に、相続人は限定承認や相続放棄によって債務の承継から逃れることを認めるものである。これは、日本法を含む大陸法系諸国(フランス法系、ドイツ法系の国々)の法で採用されている仕組みである。これに対して、清算主義とは、人の死亡により、被相続人に属していた権利義務がその人格代表者としての遺産管理人または遺言があれば遺言執行人にいったん帰属し、その管理のもとで清算が行われ、プラスの財産が残ればこれを相続人が承継するが、マイナスになれば、破産の場合と同様に債権者の間で遺産を平等に分配し、相続人には影響を及ぼさないというものである。これは英米法系の諸国で採用されている仕組みである。もちろん、それ以外にも、相続人の範囲、それぞれの相続分の割合、相続人資格の喪失条件など多くの点で各国の法律は異なっており、その背景には文化や民族性などの違いが存在するため、世界中の相続法が統一されるということはまず考えられない。[道垣内正人]
相続の準拠法
以上のような法律の相違の結果、相続にいずれの国の法律が適用されるかによって結果に違いが生ずることになる。日本の国際私法典である「法の適用に関する通則法」(平成18年法律第78号)では、第36条で相続の準拠法について定めている。これによれば、相続は被相続人の本国法によるとされている。つまり、死者が死亡時に国籍を有していた国の法によるということである。重国籍者については、その国籍のなかに日本国籍が含まれていれば日本法により、外国国籍ばかりの場合は、その国籍国のいずれかに常居所を有していたときはその国の法により、いずれにも常居所を有していなかったときは、他の関連要素を考慮して重国籍のうちでもっとも密接な関係のある国の法によるとされている(同法38条1項)。他方、無国籍者の場合には、常居所地国法により、常居所が認定できなければ、居所地国法による(38条2項・39条)。また、アメリカ合衆国のように、地域により法律を異にする国が本国である場合には、その国の規則により、またはそのような規則がなければ、もっとも密接な関係のある地域の法による(38条3項)。
 さらに、法の適用に関する通則法第41条によれば、本国法を適用すべき場合である相続については、本国法の国際私法によって準拠法を決定すれば日本法によるべきであるとされる場合には、本国法にかえて、日本法を適用するとされている。これを「反致」という。このように外国の国際私法の規定に配慮することを定める規定の背景には、国際私法の内容が国によって異なるという事情がある。すなわち、大陸法系の国際私法では、一般に、動産、不動産を問わず、被相続人の遺産はすべて一括して相続準拠法により処理されるという「相続統一主義」が採用されているのに対し、英米法系の国際私法では、動産については被相続人の住所地法により、不動産についてはその所在地法によるという「相続分割主義」が採用されているのである。そこで、たとえば、日本に不動産を残して死亡したイギリス人の相続については、法の適用に関する通則法第36条によれば本国法として英国法が準拠法とされるところ、イギリスの国際私法によればその不動産の相続は所在地法である日本法によるべきこととされているので、反致の成立を認めることによって、日本が英国法ではなく日本法を適用すれば、両国で同じ法が適用されることになるとされるのである。しかし、これはイギリスには反致のルールがないことを前提としているほか、特殊な条件が整った場合にだけ準拠法の一致が達成されるのであって、反致のルールがあれば国際私法の不統一がつねに是正されるというわけでない。[道垣内正人]
国際私法の統一
各国の相続法そのものの統一は困難であるとしても、相続に関する準拠法の定め方を統一することは可能であり、必要なことでもある。そうでなければ、どの国で争われるかによって、債務を相続するのか否か、相続人の範囲や相続分などが違ってしまい、不公平な結果が生じてしまうからである。また、そのことを見越して、法廷地を選ぶ争いが生ずることにもなる。
 国際私法の統一を任務とする国際機関であるハーグ国際私法会議は、1989年(平成1)にそのための条約として、「死亡による財産の相続の準拠法に関する条約」を作成している。この条約の特徴は、前記の「相続統一主義」を採用したうえで、被相続人に一定範囲の法律のなかから自分の相続に適用されるべき法をあらかじめ指定しておくこと(当事者自治という)を認めている点である。その理由として、遺言を作成しても、相続に適用される法がはっきりしなければ、遺言の効果が認められるか否かの予測がつかないことになるので、被相続人の遺志を尊重するために、相続準拠法の被相続人による指定を認めることが望ましいと説明されている。この点は、相続というものをどう考えるかという根本問題に関係する点であり、法の適用に関する通則法の制定に際して当事者自治の採否が議論されたが、結局当事者自治を認めず、同法の前身である「法例」のもとでの被相続人の本国法によるというルールを維持した。なお、前記の条約は2015年の時点で、未発効のままとなっている。[道垣内正人]
国際相続で問題となる状況
実際の事例では次のような問題が争いの対象となる。まず、相続の問題として扱うべきか否かが争われることがある。たとえば、日本に所在する不動産の所有者である外国人が死亡し、相続の準拠法である被相続人の本国法により相続人となった者が、その不動産の持ち分を第三者に譲渡した後になって、買主に対してその不動産の返還を求めた事件がある。原告となった売主(相続人)は、被相続人の本国法によれば遺産分割前の持ち分の処分は相続人全員の同意がなければできず、自分はそのような同意を得ていないので、譲渡は無効であると主張したのである。この事件について、最高裁判所は、共同相続した財産に関する権利関係がどうなるかとか、持ち分を単独で譲渡できるか否かなどの問題は相続の問題であるが、持ち分を第三者に譲渡してしまったときにそれによって所有権移転の効果が発生するか否かは物権の問題であり、物権は目的物の所在地法によるとされているので、日本にある不動産についての持ち分の第三者への譲渡については日本法によるのであって、日本法によれば、前記の持ち分譲渡は有効であると判示している(最高裁判所平成6年3月8日判決、民集48巻3号835頁)。
 相続準拠法の適用上の問題として、日本で英米法系の国の法律を本国法とする者の相続が処理される場合、遺産管理手続をどう進めるかという問題が生ずる。日本では承継主義が採用されているので、特別な場合を除いて遺産管理人が選任されることはないが、清算主義をとる法律のもとでは、つねに遺産管理人の選任が必要となる。一般に、手続法は実体法上の効果を実現するために存在するものであるとされ、日本の裁判所としては、外国法に定められたことを可能な限り実現すべく、遺産管理人を選任してその監督に当たるという処理がなされている。
 また、外国法の適用結果が日本法の適用結果とあまりに違う場合に、どうするかという問題が生ずる。法の適用に関する通則法第42条は公序則とよばれ、外国法の適用結果が日本からみてあまりに異質であることと、その事案の日本と関連性の程度との相関関係から、日本の公序良俗の維持のために外国法の適用結果を排除すべきか否かが判断される。たとえば、一夫多妻を法律上認めている国においては、第二夫人にも相続が認められる。そのため、そのような国を本国とする者が日本に財産を残して死亡した場合、日本においても第二夫人以下にも相続が認められるべきか否かが問題となる。法の適用に関する通則法第24条1項に定める各当事者の本国法により婚姻成立が認められるとしても、仮に日本においてそのような一夫多妻婚をしようとする場合であれば、日本との関連性も大きいため、同法第42条により、そのような準拠法の適用結果は日本の公の秩序または善良な風俗に反するものとして拒否され、一夫多妻婚は認められないことになる。これに対して、婚姻生活は外国において営まれ、夫の死亡後に第二夫人が日本所在の財産に対して相続分を主張する場合には、日本との関連性は薄く、公序則を発動してその請求を否定するまでもないということになる。
 なお、遺言をめぐる国際的問題については、項目「遺言」の「国際私法上の遺言」を参照されたい。[道垣内正人]

文化人類学からみた相続


相続と継承
広義の意味では、財産や地位などの世代的伝達が包括的に相続とよばれる。狭義の意味では、家、土地、財貨などの財産の世代的伝達のみを「相続」とよび、地位、称号、権限などの世代的伝達のほうを「継承」とよんで、両者を概念的に区別して用いる。この区別を明らかにするために、狭義の意味での相続に対して財産相続という用語を、継承に対して地位継承などの用語を用いることもある。日本の家督相続の場合には、「家」に付随する家屋・土地などの財産の相続と、「家」の家長としての地位・身分の継承との二つが含まれていた。そして、現在でも、狭義の意味での相続と継承を区別せずに、両者を一括して、広義の意味での相続という用語を用いるのが一般的である。確かに、相続と継承は相互に密接に関連している場合が多い。しかし、どの社会においても相続の形態と継承の形態がつねに重なり合うというわけではない。したがって、世界各地のさまざまな社会での相続、継承の形態をみるうえでは、両者を概念的に区別して考えるほうが有効である。[栗田博之]
相続の対象・相続人
相続や継承の対象となるものは、社会によってさまざまである。おもなものとしては、家や土地などの不動産、財貨、家財、道具、家畜などの動産、集団の長などの官職、社会階層の帰属などの地位や身分、称号などがある。このほかにも、祭祀(さいし)、儀礼、呪術(じゅじゅつ)、舞踏、歌謡、種々の技術、それに女性なども相続や継承の対象となることがある。
 相続人は、一般に、被相続人と特定の関係にある者、とくに特定の親族関係にある者である。そして、被相続人と親族関係にある者のなかで、どの範囲にある者を相続人とするかに関して、それぞれ社会ごとに、さまざまな法的、社会的規範が存在しており、その結果、共同相続、分割相続など、複数の相続人を認めるもの、長子相続、末子相続、選定一子相続など、相続人を1人に限定するもの、そのほかさまざまな相続の形態がみられることになる。
 分割相続の一種である均分相続の場合には、相続対象が分割可能なものであれば、すべての相続人の間でできる限り均等に配分することが求められる。共同相続の場合には、相続対象を分割せず、相続人の共有となる。一子相続の場合には、相続対象の分割は問題にならず、年齢原理により、長子あるいは末子を相続人と指定したり、あるいは別の原理に基づいて一子を選定したりする。また、性別原理を用いて、男子のみ、あるいは女子のみを相続人として認める場合も多い。
 これらさまざまな相続や継承の形態は、家族や親族組織の形態と密接に関連している。また、相続や継承は、さまざまな権利や義務の世代的伝達の一つとして考えるべきものである。この点に注目すると、出自原理と相続、継承との関連が重要な意味をもってくる。[栗田博之]
単系社会での相続
一般に単系社会とよばれる社会では、個人は父系あるいは母系のいずれかの系譜をたどって、特定の祖先と結び付けられ、父系あるいは母系の出自集団に属すことになり、それに伴って、さまざまな権利や義務が与えられる。父系社会の場合には、一般に、父系出自集団の成員権、財産や地位に関する権利や義務などが、父親から息子へと伝達される。一方、母系社会の場合には、さまざまな権利や義務は、母親から娘へ、より一般的には、母親の兄弟から姉妹の息子へと伝達される。しかし、単系社会において、すべての権利や義務が単系出自原理によって伝達されるというのは、単なる理念型にすぎず、一般に単系社会とよばれる社会での相続や継承は、実際にはより複雑である。そして、相続や継承の対象となるものごとに、どのような原理によって相続や継承が行われているのかを個々にみてゆく必要がある。この点を明らかにする一例として、ナイジェリアのヤケ人の社会がある。ヤケ社会には二重単系の出自原理がみられ、個人は父系出自集団と母系出自集団の両者に帰属する。そして、男性は父親から土地や家などの不動産を、母親の兄弟からは牛などの動産を相続するのである。[栗田博之]
双系社会での相続
これらの単系社会に対し、一般に双系社会とよばれる社会では、双系出自原理に基づき、父方と母方の双方からさまざまな権利や義務が伝達される場合が一般的である。また、双系社会では、相続や継承をはじめとして、さまざまな権利や義務の伝達が出自原理に基づき一義的に決まることは少なく、そのほかのさまざまな要因に基づき、選択が行われる場合が多い。
 しかし、以上のような単系社会、双系社会という類型化は便宜的なものであることを忘れてはならない。集団への帰属、居住形態、相続や継承の形態などは、相互に密接に関連してはいるが、かならずしもすべてがある一つの出自原理に基づいているわけではないのである。
 また、相続や継承の形態は、伝達されるものの質や量に大きく左右され、伝達されるものごとに相続や継承の形態が異なってくる場合が多い。したがって、ある一つの社会の相続や継承の形態をみる場合に、長子相続、共同相続などの単純な類型化には限界があるということも十分に認識する必要がある。[栗田博之]
『中根千枝著『家族の構造』(1970・東京大学出版会) ▽泉久雄他著『民法講義8 相続』(1978・有斐閣大学双書) ▽ロジャー・M・キージング著、小川正恭・笠原政治・河合利光訳『親族集団と社会構造』(1982・未来社) ▽佐藤隆夫著『現代家族法2 相続法』(1999・勁草書房) ▽市川四郎・野田愛子編『相続の法律相談』第5版(2000・有斐閣) ▽中川善之助・泉久雄著『法律学全集24 相続法』第4版(2000・有斐閣) ▽有地亨監修『口語六法全書 口語親族相続法』補訂版(2005・自由国民社) ▽前田陽一・本山敦・浦野由紀子著『LEGAL QUEST 民法6 親族・相続』第3版(2015・有斐閣) ▽川井健著、良永和隆補訂『民法概論5 親族・相続』補訂版(2015・有斐閣)』

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世界大百科事典内の相続の言及

【家】より

…しかし,純血を尊ぶという点では西欧の方がより厳格であり,自他の血を混同しない。家の安定,永続を守るためには家産相続が重要だが,この権利と義務を,西欧では血縁者に限ろうとしてきた。しかし,日本には養子制度があり,他人であっても家のために役立つ人材なら,自分の子をさしおいても後継者とすることがある。…

【家筋】より

…したがって家は同じ稲の種子を代々伝達していく集団を意味していた。 祖先と子孫の関係を理解する場合には基本的に出自,相続,継承の三つが重要である。出自はどのような関係の祖先を祖先と考えて出自集団を構成するかという問題であり,祖先中心的な親族組織の構成原理をなすものである。…

【遺産】より

…相続財産と同じ意味であるが,法典上は主として遺産分割されるまでの相続財産をさして用いられる。また,相続財産は積極財産のみならず債務(消極財産)も含むのであるが,一般に遺産は債務を控除して残った相続財産の意味で使われることが多い。…

【親子契約】より

…このような,農家世帯内部における個人相互間での,労力や財産の提供による協力関係について,関係者が契約をすることによって,一方において,農家・農村の実態・慣習に即し,農民の感情を尊重しつつ,同時に他方において,国家の法律体系にも十分通用する形で,これを明確にしようとすることが,親子契約の第1の意義である。(2)相続に関しては,日本の現行民法は,生前相続や相続契約を認めていない。しかし,農家の世代的な経営承継および財産承継は,死亡を原因とする相続だけでは十分に処理できない性質をもっている。…

【家族法】より

…家族法は家族に関する法である。日本の民法には,第4編親族,第5編相続があるが,欧米諸国で家族法というときは,相続法を別にして親族法だけを指し,日本でもまずその意味に使われる。しかし,日本では,相続法まで含めて,広く家族に関する法を家族法と呼ぶことも少なくない。…

【勘当】より

…近世の法制度において,在宅者を家から追放し,家族関係を公的に解消することで,正式には領主の許可を得て行うものであった。勘当を実行するのは,その人物のひきおこす事件が家族に影響を及ぼさないようにするためであり,家族内部の秩序維持というよりも,社会的な責任を逃れようとしたものであるが,同時に家の相続に関連して相続権を放棄させる目的も含まれており,地主層や商人たちによって行われた。このような勘当は近世の幕藩権力が社会秩序を維持するために制度化したものであり,日本の伝統的家族の内部で行われていたものではなかったと判断される。…

【持参金】より

…持参金とは,一般に女子が嫁入りに際して生家より持参する財産のことであるが,これを婚姻に伴う財産の移動という広い視野からとらえるならば,日本では,男子主導の婚姻・相続形態の形成に伴って,身分による偏差をはらみながら,現代用いられている女性婚資という意味での持参金が生成してきたのは,中世である。
【日本】

[古代]
 日本古代には嫁入婚は未成立であったから,〈持参〉という概念は文字どおりにはあてはまらない。…

【代襲相続】より

…たとえば,Aが死亡したが相続人となるはずの子Bも死亡していたときはBの子CがAを相続するし(例1)(民法887条2項),また,Dが死亡したが相続人となるはずの妹Eが相続欠格者であるときはEの子FがDを相続する(例2)(889条2項)。代襲相続とは,このように,被相続人の子や兄弟姉妹が相続の開始以前に死亡・欠格・廃除(代襲原因)によって相続権を失った場合,その者の子(代襲者。…

【長子相続】より

…相続者の親との続柄からみた相続形態の一つで,通例男子のうちの長子,すなわち長男が親の財産を相続する形態をいう。長子相続は,未開社会のなかでは父系的傾向のつよい社会,歴史的にはヨーロッパの封建社会に顕著にみられた。…

【遺言】より

…養老令にみられる生前における死後のための処分を意味した〈存日処分〉は,その源流であるといわれている。しかし,それが普及するに至ったのは,江戸時代になってからのことであり,当時,庶民の間では,頓死など不慮の死のため遺言をなしえない場合を除くほかは,遺言相続が原則的に行われていた。しかし,当時も,武士の間では,主たる財産は封禄であり,その相続は君主の意思に依存していたから,遺言相続は庶民の間のごとくには普及しなかった。…

【養子】より

…事実,ローマ古法では祭祀の存続が国家的重要事と考えられ,そのため後継者を欠く家長は他の家長を養子としたが(アドロガティオ),これは〈家〉の吸収合併のようなものであり,現代の養子とはその内容をまったく異にする。ローマには家長が他家の家子を養子とするいま一つの養子制度があり(アドプティオ),これは相互扶助と財産相続のために利用されたが,ユスティニアヌスの時代(6世紀)には〈自然模擬〉の観念から養親適齢,年齢差の制限を加えるとともに,縁組効果の点でも養子は養親の父権に服しない〈不完全養子〉の形態を認めた。1804年のナポレオン民法典が採用したのはこの養子形態であり,しかも成年者のみが養子となりうるという制限を加えた。…

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