善助(読み)ぜんすけ

朝日日本歴史人物事典 「善助」の解説

善助

没年:明治7.10.29(1874)
生年:文政4(1821)
近世紀伊(和歌山県)の漂流民。一説に文化14(1817)年に生まれ,明治7(1874)年9月21日没(過去帳)。天保12(1841)年に兵庫の廻船永寿丸(永住丸)の船頭として漂流,スペイン船に救助されメキシコに着く。同地で厚遇され,マカオを経て中国人によって弘化1(1844)年に送還。帰郷後,紀伊藩士に語った『東航紀聞』は日本人として最初のメキシコに関する見聞記。故郷周参見浦(すさみ町)の藩役所に召しかかえられ,ペリー来航に際して江戸で将軍への献上品の鑑定を行った功で井上姓を与えられる。<参考文献>岩崎俊章編『東航紀聞』(『日本庶民生活史料集成』5巻漂流)

(春名徹)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「善助」の解説

善助 ぜんすけ

?-? 江戸時代後期の漂流民。
摂津西宮(兵庫県)の永住(栄寿)丸船頭。天保(てんぽう)12年(1841)下総(しもうさ)犬吠(いぬぼう)埼(千葉県)沖で遭難し,100日あまり漂流ののちスペイン船エンサヨー号に救助される。カリフォルニア半島に置き去りにされたが,初太郎とともにアメリカ船でマカオにおくられ,14年中国船で長崎に帰着した。紀伊(きい)周参見浦(和歌山県)出身

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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