営利目的の大学(読み)えいりもくてきのだいがく(その他表記)for-profit colleges and universities

大学事典 「営利目的の大学」の解説

営利目的の大学
えいりもくてきのだいがく
for-profit colleges and universities

利潤追求を目的とするが,社会変化に即応した実用的な教育を素早くかつ柔軟に提供する会社組織に類似した大学。アメリカ合衆国では,営利目的の大学の学生数が2010年までの30年間で3万6000人から158万8000人に急増し,私立大学の5分の2を占めるまでになった。講義は医療,ビジネス,教育等の分野を標準化したシラバスに基づき,借用した教室を用いておもに夜間提供する。学生の多数は有職者,教師は実務家の非常勤講師で,オンラインのプログラムも活用する。非営利の大学に比して学生のまとまりが弱く,学士号の取得率も州立大の30%,私立大の50%に対し,10~20%と低迷している。無税特権がない反面,利潤を株主に配当し,自由に投資や企業活動をする権利を有し,通常の大学に不可欠な設備やサービスも最小限にとどめている。収入の大部分を学生への連邦政府の給付奨学金・ローンに拠っているため,その獲得手続きと使途適法性をめぐり,近年国家レベルでの疑問を招いた。日本では類似の試みとして2003年以降,株式会社立大学が認められたが,数校以上に増加していない。
著者: 立川明

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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