化学辞典 第2版 「回転拡散」の解説
回転拡散
カイテンカクサン
rotatory diffusion
流体中にある分子または微粒子が,回転ブラウン運動によりはじめの向きからだんだんと遠ざかって配向の記憶を失っていく現象.通常の拡散が,分子または微粒子の位置に関する拡散方程式で表されるのに対して,方向に関する拡散方程式,
により,t時間後の配向の分布fが表される.ここに,Dr は回転拡散係数,∇2 はラプラス演算子である.球面座標で表すと,
となる.半径rの球状粒子が粘性率ηの流体中にあるときには,回転拡散係数は,
により与えられる.ここに,kはボルツマン定数,Tは絶対温度である.回転拡散係数は流動複屈折,電気複屈折(カー効果)の消滅過程,誘電緩和などの測定から求められ,また核磁気緩和を支配する重要な量である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報