国指定史跡ガイド 「土佐藩砲台跡」の解説
とさはんほうだいあと【土佐藩砲台跡】
高知県須崎市須崎にある砲台跡。市街地の南西部、須崎湾の湾頭にあたる入り江の南岸に立地。湾から港に向かう航路上の要所に視準を定めて構築された土佐藩の砲台跡で、幕末の情勢を知るうえで重要なことから、1944年(昭和19)に国の史跡に指定された。当初は円形西砲台、一文字形中砲台、半円形東砲台と砲門・火薬室が7ヵ所あったが、指定地はこの3ヵ所の砲台のうち、現存している西の砲台で、改修の跡があるもののよく旧態を残している。1853年(嘉永6)のペリー来航以来、土佐藩においても海岸警備が進められたが、この砲台は動乱のなか、わずか1ヵ月で急造されたもので、西の砲台跡は、3砲台中最大規模。長さ116mの弧状を呈する石垣組み壇上部の平坦部に7座の砲門を配し、石垣内には火薬庫を設けた。土塁や溝などが残っていることから全体の規模は約8300m2とみられ、一帯は西浜公園になっている。JR土讃線土佐新荘駅から徒歩約7分。