地域精神医学(読み)ちいきせいしんいがく(その他表記)community psychiatry

改訂新版 世界大百科事典 「地域精神医学」の意味・わかりやすい解説

地域精神医学 (ちいきせいしんいがく)
community psychiatry

精神障害の発生予防の立場から〈機能的ないし地理的に限定された集団の精神健康を満たすプロセス〉(キャプランG.Caplan)とされている新しい精神医学の一分野で,第2次大戦後に台頭した。しかし,上記の定義のような立場をとっていたのはアメリカのみで,西欧ではより具体的であって,精神障害者を地域内で治療するための医療サービスに関する理論化と実践活動が中心課題である。精神障害者を精神病院の中に閉じ込めておくことは,かえって反社会的・非社会的傾向を助長するという考えから,早期退院,地域社会で治療を行うためのリハビリテーション体制を整えること,精神保健福祉センターや保健所等の行政機関と病院が連絡して,これに努力することなどが図られている。近年欧米では,地域内での環境改善による精神障害者の発生予防(1次予防),早期発見,早期治療(2次予防),社会復帰活動(3次予防)を地域住民の協力で進めることが計画され,広く実行されており,入院病床数は急速に減少してきている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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