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地政学的リスク ちせいがくてきりすくgeopolitical risk

知恵蔵の解説

地政学的リスク

一般的にはテロや戦争、さらには財政破綻などから生じるリスクを意味するが、とりわけ投資家の立場からみた不確実性を指す。この言葉は、2003年2月、04年4月のG7声明でも言及されていたが、02年9月に米連邦準備制度理事会が使用したことから始まるといわれる。01年の同時多発テロが発生した直後にニューヨークの株価が急落し、世界経済の停滞を招いたことが背景になった。イラク戦争の推移や石油価格の動向、さらには中国の内政も広い意味では、このリスク要因に含められる。投資家にとって最終的な判断材料になるのは経済の実体(ファンダメンタルズ)であるが、突発的、大規模な事件が発生すると、先行き不安から経済活動もしばしば沈滞する。株価が急落することで表れる逆資産効果は、経済的な因果関係がより強い。米国は、テロ資金の流れを規制することに重大な関心をもっているが、他方でイラク戦争が世界の安全につながったとの建前を崩せないので、地政学的リスクを強調することにはジレンマがある。かつては「有事に強いドル」といわれたが、米国の「双子の赤字」が大きくなっているので、為替相場の見通しに関しても、不確実性は増えている。また、05年4月に拡大した中国の反日デモも、大きなリスク要因として意識された。

(石見徹 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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