坂上経澄(読み)さかのうえのつねずみ

朝日日本歴史人物事典 「坂上経澄」の解説

坂上経澄

生年生没年不詳
平安後期の紀伊国(和歌山県)の武士。『今昔物語集』巻29に前国司平維時の郎等として登場する坂上晴澄の孫。11世紀後半に伊都郡の各地に所領を持つ在地領主に成長。高野山領官省符荘には80町余の所領を有したが,寛治1(1087)年寺家所司の行賢を殺害した罪により没収され,荘外に追放された。この事件をきっかけに,3代にわたって坂上氏に仕えた家人の紀仲清に天野社領内の山前山地などを押領されそうになり,寛治3年に近隣刀禰の証判をそえて,所領の回復を願い出ている。経澄のその後の動向は詳らかでないが,一族子孫のうちには,相賀荘や官省符荘の荘官や住人としてその名がみえる者がいる。<参考文献>上横手雅敬『日本中世政治史研究』

(小山靖憲)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「坂上経澄」の解説

坂上経澄 さかのうえの-つねずみ

?-? 平安時代後期の武士。
高野山領の紀伊(きい)伊都郡官省符荘(かんじょうふのしょう)(和歌山県高野口町)内80ha余の領主。寛治(かんじ)元年(1087)寺家所司の行賢を殺害した罪で追放され,所領を没収された。のち家人の紀仲清に先祖伝来の天野社領山前(やまざき)山地まで押領されかけ,3年に所領の回復をねがいでた。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android