坂合部郷(読み)さかいべごう

日本歴史地名大系 「坂合部郷」の解説

坂合部郷
さかいべごう

「姓氏録」大和国皇別条に「坂合部首 阿倍朝臣同祖、大彦命之後也」、摂津国皇別条に「坂合部 同大彦命之後也、允恭天皇御世、造立国境之標、因賜姓坂合部連」とあり、坂合の語にちなむ説話とも考えられるが、坂合部郷の推定郷域は大和・紀州両国境、畿内・畿外の境界にあたる。

もと豊井とよい庄のうちにあり、「和名抄」にはみえないが、平安期にはおそらく東大寺領、鎌倉期以降は興福寺一乗院領と考えられる。明応五年(一四九六)の坂合部殿証文(表野の田中家文書)によると、坂合部郷内には、犬飼いぬかい上野こうずけ相谷あいたに黒駒くろまなか大津おおづ大野おおの山陰やまかげ表野ひようの火打ひうち大深おおぶか只野ただの樫辻かしつじの一三ヵ村がみられ、その所在は現五條市西南部、旧阪合部さかあいべ村に比定される。

仁安三年(一一六八)豊井庄新苧注進状(東大寺文書)に「豊井御庄内二見坂合部春料苧不食分中分食□合参拾為(中略)坂合部郷廿一為」、同四年の二見坂合部郷預所給田畠注文(東京大学蔵東大寺文書)に「坂合部郷田畠一町内 田五段内河南条一里十五坪一段(下略)」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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