説話(読み)セツワ

世界大百科事典 第2版の解説

せつわ【説話 shuō huà】

中国では,まとまった物語を語る話芸を,かつて〈説話〉と呼んだ。この場合,説話の〈話〉とは物語を意味する。この語の用例は,すでに隋・唐代(6~10世紀初め)に見られるが,文学用語としては,そのような話芸が,専門の芸人によって語られ,芸能として定着した宋代におけるそれをもっぱら指す。 すでに唐代では,寺院などにおける宗教的説法から発展し通俗化した〈俗講〉または〈変文〉が行われていたが,宋代になると,商業経済の急速な発達と新しい市民階層の台頭によって,北宋の首都開封や,南宋の首都杭州のような大都会が繁栄し,盛場(瓦子)の芝居小屋(勾欄)では,簡単な劇や講談軽業などのさまざまな演芸が演じられた。

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大辞林 第三版の解説

せつわ【説話】

( 名 ) スル
創作された話に対して、民間に伝わる口承の物語。内容によって昔話・伝説・世間話・宗教説話などと分けたり、モチーフによって起源説話・神婚説話などと分類したりする。広くは神話を含める。
話すこと。物語ること。 「以上-する所は/浮城物語 竜渓
中国、宋代に市井の盛り場で語られた大衆芸能の一。それを職業とするものを「説話人」といい、古今の珍しい話を口説した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

説話
せつわ

文字によらずに、口伝えによって継承される口承文芸のうち、散文で表現されるもの。歌謡の対。神話、伝説、昔話世間話などが含まれる。体験的事実の報告ではなく、伝聞による報告であるところに特色がある。歌謡が表現の形式を重視し、おおむね音楽と一体になって歌われる文芸であるのに対して、説話はストーリーの展開に主眼を置いて語られる文芸である。沖縄県宮古(みやこ)列島では、説話に相当するものをユガタリ、歌謡に相当するものをアヤゴ(アーグ)とよぶ、文芸に関する語彙(ごい)体系がある。ユガタリは説話とまったく等しい概念で、神話、伝説、昔話、世間話を包括し、やはり伝聞の形で語るものであるという。文学史上では「物語」とよばれるものがほぼ説話に一致する。『今昔物語集』が「――と語り伝えたということである」と結んでいるのはその典型であるが、文学のほうでは、説話といった場合には短編の説話をさし、長編のものは物語とよぶのが普通である。[小島瓔

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精選版 日本国語大辞典の解説

せつ‐わ【説話】

〘名〙
① (━する) 口をきくこと。話すこと。ものがたること。また、その話。物語。
正法眼蔵(1231‐53)仏教「恁麽の説話あらば、仏法、仏道はあきらめず、通ぜざりけるとしるべし」
※西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉四「その父それをして口に順て説話することを習はしめ」
② 広く神話、伝説、昔話などの総称。昔話。
※三体詩幻雲抄(1527)「又一義には怨平湖(えんぴんこ)と云て唐土の説話なり」
[語誌](1)中国では、宋代に「瓦子」と呼ばれる盛り場の演芸場で行なわれた語り芸をいうが、すでに唐代においても、世俗教化のために寺院が催す講筵説経の場で行なわれる語り芸を称していたと考えられている。
(2)日本では中古・中世を通じてもっぱら①の「話す」意で用いられていたが、神話・伝説・昔話などの総称としても使われ、現代では「今昔物語集」などの説話集の類を構成する一話一話を指してもいうようになる。

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