坂部冬祭(読み)さかんべふゆまつり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「坂部冬祭」の意味・わかりやすい解説

坂部冬祭
さかんべふゆまつり

長野県の諏訪(すわ)神社(下伊那(しもいな)郡天龍村坂部(さかべ))で1月4日に行われる祭り。もと霜月祭とよばれ、旧暦11月14日の湯立神楽(ゆだてかぐら)で、神社の拝殿を舞処として拝殿の炉に湯立の釜(かま)をかけ、徹夜で行われる。祭りに奉仕するのは禰宜(ねぎ)と宮人(みょうど)であるが、宮人とはこの宮に病気などで願掛けをした男子の氏子で、その願果たしに祭りに生涯奉仕することを約束した者である。大神宮、火の大神、神楽大神など神々に御湯を献ずる湯立が次々と行われる。夜明け近く、火の王社から迎えてきた面形(仮面)の舞がある。面には、たいきり面、獅子舞(ししまい)、鬼神面、天公鬼面、水王様、火王様、翁(おきな)面、日月面、女郎面などがある。村内の向方(むかいがた)、大河内(おおこうち)にも同種の湯立神楽があり、国の重要無形民俗文化財に指定されている。

[渡辺伸夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android