改訂新版 世界大百科事典 「塩シタミ座」の意味・わかりやすい解説
塩シタミ座 (しおしたみざ)
室町時代,奈良興福寺の大乗院を本所とし,同院所属の正願院塩座問屋から仕入れた塩を奈良で振売していた塩の小売商人集団。文明年間(1469-87)には,元興寺郷中院・紀寺・脇戸・浄土・井上・高畠・丹坂・廊ノ辻子・池ノハタ・今窪・鵲・福院などに分散居住しながら,ひとつの座衆として行動していた。本座問屋の塩を受けて箕(み)に入れてかつぎ,振売して歩いたことからシタミ・下箕座と呼ばれた。このように当初は振売・行商に限られていたが,1466年(文正1)ごろには屋内で塩を売っているとして本座から訴えられている。73年にはすでに2代,3代にわたって居座すなわち屋内売買の座としての実績のあることを本所に訴えているところから考えて,しだいに振売と店売を兼ねるようになっていたものであろう。座役として本所大乗院に油を貢納していたが,16世紀末には本座を通して納めるようになっている。これは本座問屋の経済支配が強化されたことを推測させる。
執筆者:佐々木 銀弥
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