山形県南東部、東置賜郡(ひがしおきたまぐん)の町。1895年(明治28)高畑町として町制施行。1905年高畠町に改称。1954年(昭和29)二井宿(にいじゅく)、屋代(やしろ)、亀岡(かめおか)、和田の4村と合併して社郷(やしろごう)町となり、1955年糠野目(ぬかのめ)村と合併してふたたび高畠町となる。米沢(よねざわ)盆地東部に位置し、東部は奥羽山脈を境に宮城、福島両県と接する。県内でもっとも早く開発された地で、国の史跡の日向洞窟(ひなたどうくつ)、火箱岩洞窟(ひばこいわどうくつ)などの洞窟遺跡や羽山(はやま)古墳などの古墳が点在する。平安時代には屋代荘(しょう)が成立し、中世には伊達(だて)氏の支配下で高畠城が置かれた。江戸時代には米沢藩預かりの天領が大半を占めた。中心の高畠はまた屋代川の谷口集落でもあった。JR山形新幹線、奥羽本線、国道13号(羽州街道)、399号、東北中央自動車道が通じ、南陽高畠インターチェンジがある。宮城県境の二井宿峠を越える二井宿街道(国道113号)は江戸時代は奥羽山脈越えの重要路であった。米作のほか、ブドウ、洋ナシなどの果樹栽培や酪農が盛ん。また缶詰、乳製品、電子部品などの工業がある。県南県立自然公園に含まれ、亀岡文殊(もんじゅ)堂、安久津八幡(あくつはちまん)神社などの文化財と自然環境を生かした「まほろばの里」づくりを目ざしている。旧高畠鉄道の線路跡地を利用したサイクリングロードがつくられ、「まほろばの緑道」と名づけられた。児童文学者浜田広介(ひろすけ)の出身地で、1989年(平成1)には記念館が完成している。面積180.26平方キロメートル、人口2万2463(2020)。
[中川 重]
『『高畠町史』全4巻(1971~1986・高畠町)』
山形県南東端,東置賜(ひがしおきたま)郡の町。人口2万5025(2010)。米沢盆地東部にあり,東は宮城・福島両県と接し,西端には最上川の支流鬼面川が流れる。古くから開かれた地で,町内には多くの縄文時代の洞窟遺跡があり,日向洞窟,大立洞窟,一の沢洞窟,火箱岩洞窟は史跡に指定されている。平安時代中期には屋代荘が成立,近世には伊達氏の城下町から上杉領を経て寛文年間(1661-73)に天領となる。1767年(明和4)には織田氏が移封され,高畠藩2万3000石の城下町となるが,天保年間(1830-44)に織田氏は天童に移った。農業が主産業で,セイヨウナシ,ブドウ,バターの生産が盛ん。JR奥羽本線,山形新幹線が通じる。
執筆者:松原 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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