店舗を構えたり一定の場所で商売するのでなく,呼売して行商すること,またはその商人をいう。連著,連雀(れんじやく)などともいう。また振売は,特権的営業権を認められた座商人の座売に対する自由かってな商い,すなわち脇売を指すこともあり,立売とも呼ばれ,禁じられる場合もあった。江戸時代には振売は商品を持ち歩いて売ることをいい,せり売とも触売(ふれうり)ともいった。棒手振(ぼてふり)も同義語である。1648年(慶安1)幕府は振売札を下付して札所有者にのみ振売を許し,さらに1659年(万治2)振売赦免の業種を定めて振売札を下した。その対象業種は木綿布売,紙帳売,油売,薪売など日用必需品が多く,振売札の下付にあたっては札銭が徴収されることが少なくなかった。江戸時代には店舗商業が主体となったが,農村などではなお振売に依存するところが大きかった。
→連雀商人
執筆者:宮本 又郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
中世~近世に天秤棒に商品をさげて売り歩いた商い,またその商人。商品を頭上にのせて売り歩く桂女(かつらめ)・大原女(おはらめ)などの女性商人も振売の一種。塩・魚・檜物など扱う商品の大半が店売のものと重複したため,しばしば店売商人との間に訴訟がおきた。振売商人の多くは農村居住者で,新座・里座などとよばれる独自の座を結成していた。近世には連雀(れんじゃく)・棒手振(ぼてふり)などともよばれ,農村部に日用品を供給した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…〈広告〉という語は1872年(明治5)ころから新聞に散見され,87年ころから一般に使用されるようになったといわれる。江戸時代の振売(ふりうり)の口上(こうじよう)が引札(ひきふだ)(ちらし)を経て新聞広告などへ発達してきたものである。 広告と同じような意味で用いられている宣伝という語は〈ある主張・商品の効能などを多くの人に説明して,理解・共鳴させ,ひろめること〉(《広辞苑》)とあるように,本来はプロパガンダpropagandaに相当する語である。…
…街頭で商品を売る者のことで,近世には品物を手や肩にかけて移動しながら売り歩く振売と,大道や神社仏閣の境内などに見世(みせ)を出し移動せずに商売する立売とがあった。振売は〈棒手振(ぼてふり)〉ともいい,荷箱や荷ざるに品物を入れ天秤棒(てんびんぼう)で担ぐもの(魚売,酒売,豆腐売など),商品を手で持って売るもの(双六(すごろく)売,宝船売,暦売など),台輪に商品を載せて担ぐもの(桜草売,植木売など),挟み箱を担ぐもの(薬売),市松模様の屋根の屋台で売るもの(虫売),弁慶に差して売るもの(鉢たたき,つくり花売,ほおずき売),傘をさした物売(飴売),品物を入れた箱を背負った物売(筆墨売,羅宇屋(らおや)),箱を肩にかけた物売(お豆さん売),箱を首にかけたもの(だんご売,しゃぼん玉売),引出し付の小箱を手でさげて売りにくるもの(煙草売,歯磨売),品物を頭にのせてくる物売(女の魚売),箱を片方の肩に担ぐもの(鮨売)などがあった。…
※「振売」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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