化学辞典 第2版 「塩化ホスホリル」の解説
塩化ホスホリル
エンカホスホリル
phosphoryl chloride
POCl3(153.33).三塩化ホスホリルともいう.俗称はオキシ塩化リン.無色の発煙性液体.分子はPを中心とする四面体型構造.P-O1.449 Å,P-Cl1.993 Å.∠Cl-P-Cl103.3°.融点2 ℃,沸点105.3 ℃.密度1.65 g cm-3(25 ℃).水により加水分解し,HClとリン酸を生成する.金属ハロゲン化物に配位して錯体をつくる.ZrCl4,HfCl4はともにPOCl3と錯体をつくり,分留して両元素を分離しうる.また,フリーデル-クラフツ反応後の余分のAlCl3触媒を,このPOCl3と錯体を形成させて分離除去することができる.有機化合物の塩素化剤,触媒,冷媒などに用いられる.特有臭があり,皮膚,眼,粘膜などをおかす.有毒.[CAS 10025-87-3]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報