日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩城」の意味・わかりやすい解説
塩城
えんじょう / イエンチョン
中国、江蘇(こうそ)省中部にある地級市。新洋港上流域にあり、串場(かんじょう)河、通楡(つうゆ)運河が縦貫する。3市轄区、5県を管轄し、1県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。人口820万3728(2010)。漢代には塩涜(えんとく)県が置かれ、5世紀の初め塩城県と改め、1983年市制を施行した。唐以降たびたび捍海堰(かんかいえん)(防潮堤)がつくられたが、県城の東門外1キロメートルにある宋(そう)代の范仲淹(はんちゅうえん)のつくった范公堤が有名。もとこの地は黄海(こうかい)に臨んでいたが、黄河(こうが)が淮河(わいが)の流路を奪って南東流したため、土砂が堆積し、いまでは海岸から約50キロメートルの距離にある。淮南塩製造の中心地で、劉荘(りゅうそう)、伍祐(ごゆう)、白駒(はくく)、新興などの製塩場が古くからあった。米、小麦、豆、ワタ作を主とする農業地帯である。自動車部品や機械、紡績、化学工業などの工場も立地する。市中部の亭湖(ていこ)区には塩城南洋空港がある。
[林 和生・編集部 2017年2月16日]