黄海(読み)コウカイ(英語表記)Huang Hai; Yellow Sea

デジタル大辞泉 「黄海」の意味・読み・例文・類語

こう‐かい〔クワウ‐〕【黄海】

中国と朝鮮半島との間の海。北は遼東半島から南は済州島揚子江河口とを結ぶ線までをいい、水深は浅く、黄河の流入によって海水が黄濁している。ホワンハイ

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精選版 日本国語大辞典 「黄海」の意味・読み・例文・類語

こう‐かいクヮウ‥【黄海】

  1. ( 黄河などの諸河川の泥砂が流入し、黄濁しているところからいう ) 中国大陸と朝鮮半島に囲まれ、北は遼東半島から南は揚子江河口と済州島を結ぶ線までの海域。好漁場として知られ、大連、青島、南浦、仁川など良港に恵まれる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黄海」の意味・わかりやすい解説

黄海
こうかい
Huang Hai; Yellow Sea

太平洋縁海の一つで,中国大陸と朝鮮半島の間にある内海東シナ海の北に位置する。水域面積約 38万km2リヤオトン(遼東)半島シャントン(山東)半島の間にあるポーハイ(渤海)海峡によってポー(渤)海とつながっている。全体に浅く,平均水深は約 44m,最も深いところで約 152m。強い潮汐流のために東側沿岸地域は一般に砂質底である。海域中央部は泥質シルトで,渤海側に注ぐホワン(黄)河や他の河川によってもたらされた莫大な量の堆積物によって中国大陸近くでは泥が卓越している。黄海にはアムロク(鴨緑)江,朝鮮半島のテドン(大同)江ハン(漢)江などが流入している。遼東半島南方,チヤンスー(江蘇)省沿岸部の潮間帯に広がる干潟には多くの種類の渡り鳥が訪れ,2019年世界遺産の自然遺産に登録された。主要港は中国のターリエン(大連)特別市チンタオ(青島)特別市イエンタイ(煙台)特別市,および朝鮮民主主義人民共和国ナンポ(南浦)市大韓民国インチョン(仁川)直轄市などにある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「黄海」の意味・わかりやすい解説

黄海
こうかい / ホワンハイ

中国東方にある太平洋の縁海の一つ。北と西は中国本土、東は朝鮮半島に囲まれている。南は東シナ海と接続し、両海の境界は長江(ちょうこう/チャンチヤン)(揚子江(ようすこう/ヤンツーチヤン))河口部北側と韓国の済州島(さいしゅうとう/チェジュド)南西岸を見通した線である。また北西は渤海(ぼっかい/ポーハイ)と連なり、その境界は遼東(りょうとう/リヤオトン)半島南端の老鉄山角(ろうてつざんかく)から渤海海峡上に浮かぶ廟島(びょうとう/ミヤオタオ)群島を経て山東(さんとう/シャントン)半島北端の蓬莱角(ほうらいかく)に達する線である。面積約40万平方キロメートル、平均水深は約44メートルの浅海である。黄河(こうが/ホワンホー)をはじめとする諸河川の運び込む大量の微泥が浮遊し、懸濁しているため海水は黄色を呈する。そのため黄海とよばれ、透明度が低い。また黄海は、山東半島の成山角(せいざんかく)と朝鮮半島の長山串(ちょうざんかん/チャンサンコッ)を結ぶ線で南北の二つの部分に大別されることもあるが、南部は比較的外洋の影響を受けやすく、北部は閉鎖海域としての傾向が強い。浅海なので表面水温は気候変化の影響によって変動しやすく、冬は2℃~8℃、夏は28℃程度である。また黄海の大部分は対馬(つしま)海流が分岐する黄海暖流の影響を受けるが、中国沿岸部は塩分濃度が低く、季節的変化も大きい。北部の比較的深い海底には夏も冷水塊があり、魚類の生態に影響している。主要水産資源としてはフウセイキグチタチウオ、イカ、タイショウエビなどがあげられ、砂泥質の平坦(へいたん)な海底面なので、底引網の好漁場である。中国、北朝鮮、韓国の漁船のほか、日中漁業協定に基づき日本の漁船も出漁している。中国側の主要漁港としては、大連(だいれん/ターリエン)、威海(いかい/ウェイハイ)、石島(せきとう)、青島(チンタオ)、石臼所(せききゅうしょ/シーチウスオ)(山東省日照市)、連雲港(れんうんこう/リエンユンカン)などがある。また沿岸部では浅海養殖が盛んで、コンブ、ノリなどの海藻やカキ、イガイ、クルマエビなどが養殖される。また潮位差が比較的大きく、製塩も盛んである。黄海は中国、朝鮮、日本を結ぶ海上交通路として古代以来盛んに利用されてきた。現在も沿岸航路が発達し、大連、青島、連雲港、仁川(じんせん/インチョン)など多くの国際貿易港がある。石臼所港は、中国の山東炭と山西東部の石炭の日本などへの積出し港である。

[河野通博]

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改訂新版 世界大百科事典 「黄海」の意味・わかりやすい解説

黄海 (こうかい)
Huáng hǎi

中国,華北地区と朝鮮半島に囲まれた海。中国では三大沿海の一つと称される。山東半島と遼東半島をつなぐ線より西は渤海といい,南は長江(揚子江)の河口と済州島を結ぶ線で東海と区切られる。黄河や海河,淮河(わいが)などの排出する泥砂により海面が黄色くみえ,この名がある。面積は約40万km2。水深は済州島の北側の一部が100mに達するほかは,大部分が60~70mの大陸棚を形成している。長江の河口からは海底に三角州が形成されており,先端は済州島付近にまで達する。朝鮮半島・遼東半島・山東半島の沿岸は岩石海岸で多くの港湾が発達するが,江蘇の沿岸は砂州と沖積平野で港湾はほとんどない。南から暖流が流入し,冬季には北から寒流も加わり,回遊する魚類は豊富で漁業が盛んである。石島漁場,大沙漁場,呂泗漁場など中国の代表的漁場がある。また平野部の沿海では製塩業が発達している。
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百科事典マイペディア 「黄海」の意味・わかりやすい解説

黄海【こうかい】

東シナ海・渤海湾に接する海で,長江河口,朝鮮半島南西岸および遼東・山東両半島で囲まれる。朝鮮では〈黄海(フアンヘ)〉または〈西海(ソヘ)〉という。海水は黄河の水によって黄濁している。漁業,塩業が行われ,青島(チンタオ)・旅大などの良港がある。潮差は朝鮮西岸の仁川で著しく,7〜8mに達する。

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